Warehouse


そういうことじゃなくて


ガチャンガチャン、ブルルルルル

金属がぶつかる音。プロペラが回る音。そんな音が工場内に響く。外の人間からしてみれば騒音かもしれないが、こんな騒音も工場内では日常茶飯事で、名前も既に慣れてしまった。なので名前が今むくれているのは騒音が原因ではない。工場の主であるーー名前にとっては誰よりも愛おしいハイゼンベルクが原因であった。
ゾルダードやらシュツルムやら、ハイゼンベルクは様々な物を開発してきた。そして今また、新しい何かを開発しようとしているらしい。開発にばかりかまけていて名前のことを構っていないのだ。それが原因出名前はむくれていた。もちろん、開発が大切なのは知っている。ハイゼンベルクにとって鋼の軍団を強化するのはミランダへの反旗を翻すための大切なものなのだ。だからそれに力を入れることに対して文句を言うつもりは無い。しかし、それでも放って置かれるのはやはり名前としても面白い状況ではなかった。
「むー…」
ソファの上にポスッと横になる。ハイゼンベルクの背を見つめる。見つめてもこちらを見てくれる訳では無い。わかってはいるのだが。
「カール…」
そう一言呼んで、自分を見てくれることを願って名前は目を閉じた。次第に眠気に誘われそのまま名前は身を任せた。




「だーっ!また失敗だ!」
そう吐き捨て、持っていた設計図をグシャリと潰し床へ投げ捨てる。
「おい名前、材料をちょっと取って…ん?」
振り返りそこにいるはずの名前へ声をかける。が、当の名前はソファでスヤスヤと寝息を立てて眠っていた。いつの間にかハイゼンベルクのコートを羽織っている。
「おい名前、起きろ!」
近付き、名前の肩を揺する。そうすれば名前の瞳がゆっくりと開く。
「ん…」
寝ぼけた眼でハイゼンベルクを捉える。
「あ!カール終わった!?構ってくれる!?」
ガバッと起き上がりハイゼンベルクに詰め寄る。
「落ち着け。終わってねぇよ」
そう言うハイゼンベルクに名前は肩を落として落胆し、
「なぁんだ、じゃあまだ構ってもらえないのね…」
と言ってソファに座り直す。
「なんだよ、何拗ねてんだ」
ハイゼンベルクは名前の隣に座る。名前は口をとがらせ
「だってカール、最近研究ばっかで構ってくれないもん…」
「あー…まぁそうだな」
バツが悪そうにハイゼンベルクが目を背ける。が、直ぐに何かを思いついたようにニヤリと笑い、
「わかった。じゃあ構ってやるよ」
そう言いながら名前の肩に手をかけ、ソファの上に押し倒す。そして名前の服に手をかけーー
「待って待って!違うのこういう構うじゃなくて〜〜〜〜!」
バタバタとハイゼンベルクの下で暴れ出す名前。そんな名前を押さえつけ
「なんだ、構ってるじゃねぇか 」
「違うの!もっとこうお話するとか!そういうことがしたいの!」
「分かった分かった。後でな」
「今〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
バタバタと暴れるもハイゼンベルクに押さえつけられなすがままにされる名前であった。

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