原作10巻(86話-1)
「自分の立場……よくわかってるわね……! 小賢しい子!」「いや……馬鹿だろ」
「刺しましょう!」
「ぐぬぬ……何故だ。その誇り高い志を理解しているなら進む道もわかるはずだ! 少女!」
「その気がねえなら懐柔されたフリでもしときゃいいものを……やっちまったな」
赤い瞳がヴィランたちを睨み据える。その口元は不敵に笑んでいる。
「したくねーモンは嘘でもしねんだよ俺ァ。こんな辛気くせーとこ長居する気もねえ」
そうだよなァ? ちらと投げた視線の先、薄暗い酒場で仄かに光っているように見える。淡い若草色の鹿がはっきりと頷いた。
連合のボスみてえのが現れて、気色悪い手の男も冷静だ。奴の指示を受けて仮面がこっちに近づいてくる。あんまいい状況じゃねえ。
仮面はいい。アイツより鹿のが速え。鹿が何とかすんだろ。問題はワープ野郎だ。
「ここまで人の話を聞かねーとは……逆に感心するぜ」
「聞いて欲しけりゃ土下座して死ね!」
隣で鹿の神経が糸みてえにぴんと張ったのがわかった。クラス全員相手にあんだけ立ち回った。コイツはわかってる。何をするにもとにかくワープ野郎が邪魔すぎる。最大火力でブッ飛ばすのも野郎のせいで安パイじゃねえ。考えろ……! どうにか隙作って後ろのドアから……!
ノックの音。思わず振り返る。
「どーもォ、ピザーラ神野店ですー」
一瞬の逡巡。轟音と共に響いた大きな、力強い声。
「SMASSH!!」
