コラボ必殺技
「お? おお! おおおー?!」「何これすげー!」
水道で頭を濡らして体育館に戻ってきた僕が見たのは、瀬呂くんにぐるんぐるん振り回されている上空の鹿乃さんだった。
「……え?」
隣で上鳴くんがくわっと口を開ける。
「なっなんじゃこりゃー!!」
「俺と麗日と鹿乃でー、必殺! 鹿ハリケーン!」
瀬呂くんはぐるんぐるん回している。後から体育館に戻ってきた切島くんはすげえなと言いつつちょっと心配そうだ。
「鹿乃ちゃん目ェ回んねえー?!」
大丈夫ー! と返ってくる声が遠い。
「鹿乃ちゃん今や! 角変形!」
麗日さんに、上空から鹿乃さんがぐっとサムズアップした。八百万さんに出してもらったんだろう。戦闘機のパイロットが付けるようなゴーグルをはめる。
指を針で刺すようなそぶりが見えた。
ぐうっと角が変わっていく瞬間は、いつ見ても不思議だ。変な話だけれど、見ていて面白い。ぐぐっと角が枝分かれしていって、一本一本が太くなる。
「いいよ! 瀬呂くん!」
「おう! いっけぇー!!」
瀬呂くんが腰を落としてぐわっとテープを引っ張った。鹿乃さんはセメントスが作ったコンクリートの壁に一直線に突っ込んでいく。ぐっと角が構えられる。
物凄い轟音がして、壁がぼろぼろに崩れ去った。
角からぱらぱらとコンクリートの破片が落ちてる。振り返って壁の残骸を見て、ぱっとその顔が輝いた。
「やったー! 大成功や!」
麗日さんがぴょんぴょん跳ねてる。ふよふよ浮く鹿乃さんを瀬呂くんがゆっくり引っ張って回収する。
「解除!」
「すげー、めっちゃド派手な必殺技できたな!」
「三人揃ってないとあかんけど! でもすごい!」
「うん!」
「チームアップしちゃうー? んー、名前なんだろな」
「せろはんず!」
「それ俺だけじゃん!」
「えーズリィ! 俺も入れてくれよー!」
「考えてたんだよ。上鳴くんが瀬呂くんのテープに帯電したら、もっと強いと思う!」
「鹿乃ちゃんー!! いーねそれ! あーでも俺それまだできねー!」
鹿乃さんが笑っている。やっぱり嬉しくなる。
隣に並んだ切島くんもそうみたいで、口元が笑ってる。みんなの方を見る目が凄く真っ直ぐで熱い。ファットガムの事務所に行き始めてから、切島くんはどんどんヒーローになっていくなあって思う。
僕も頑張ろう。もっと強く。たくさんの笑顔を全部救けられるように、強く。
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原作18巻〜19巻166〜168話あたり
