会話集1

▼共同スペースソファーにて
「おめーガチでできねえなこの分野」
「大丈夫、死ぬまで戦い続ける相手だと思ってる」
「教えられとる分際で妙な開き直り方すんなや100回感謝しやがれ」
「なんか鹿乃ちゃんに教えるって新鮮だわあ」
「上鳴くんほんとにありがとう」
「いいよいいよ! もうどんどん聞いて!」
「鹿てめ礼する相手がちげェだろが!」

 *

「うわァん鹿乃ちゃん教えてェ! アイツ肉体言語にスパルタが過ぎるわもう!」
「テメェの頭がゴミすぎんだこのアホ! 大体フツーにわからねえのが意味わかんねんだよアホ!!」
「語尾みたいに言うのやめてくれる?!」
「ちょっと上鳴、今ウチが鹿乃に聞いてるとこなの」
「いーじゃんか一緒に聞かせてくれよ!」
「アンタがいると話が進まないから無理」
「言葉がナイフのようだよちょっと?!」
「上鳴くんあのね肉体言語が一番覚えられるかもしれないって最近思うの私この前それでやっと解けた問題が」
「鹿乃ちゃん?!?!」
「ハッほらなコイツもそう言ってんだろがアホ面ァ」
「うわー凶悪な顔。てか鹿乃戻ってきて、まだ解説途中途中」
「あ、ごめん。なんかちょっと極限だった。えっとここは、変曲点を……」
「ふむふむ」
「いやちょっと待って俺をここに置いてかないで!! てか鹿乃ちゃんはちょっと一緒に休憩しよマジで! さっきの分野のテンション変なとこで引きずっちゃってっからそれ!」
「テメェ人様に教えてください言っといて良い度胸してんなア?」
「だからオメー怖ぇんだっていちいち! 爆豪も休憩しようぜ一旦!」
「指図すんなこのクソアホがァ!!」
「阿鼻叫喚地獄」

 *

「えーと、だからここがこうだから、えーと?」
「惜しいですわ鹿乃さん、そこはこちらがこうなって……」
「え?! な、なんでなの」
「うーん、何から説明したらよろしいでしょう……」
「待って、百ちょっと待って考えてみる」
「それを見守りたいのは山々なのですけれど、そこがわからないことにはそもそも考えようがないですわ鹿乃さん……」
「えっ」
「それ、これから教えた方がいいんじゃないか」
「こっちと繋がってるの……?!」
「ああ。そこわかってねえときついと思う」
「うーん……確かに轟さんの言う通りですわね」
「あ、あたまが……」
「頑張れ。水飲むか?」
「鹿乃さんは頑張り屋さんですから、全力で応援したくなりますわよね。大丈夫、最後までお付き合いします!」
「二人とも……ありがとう……本当に……水も……」

 *

「鹿乃って実技も他の教科もすげーじゃん。だから、なんかああいう姿新鮮だよなあ」
「確かにそうだな」
「頭ぐるぐるしてるときの鹿乃ちゃん可愛いよね! 私も身振り手振りつけて全力で教えてあげたいー!」
「……葉隠さんはその場合ちゃんと服とか手袋とか着ないとだめだからね」
「もー、わかってるよ尾白くん!」
「んん、本当にわかってるのか……?」
「しかしあの分野って入試科目の中にもあったよな? あいつどうやって通ったんだここ」
「それ私も気になって前に聞いたのよ佐藤ちゃん。そうしたら体力でなんとかしたって。たぶんわからないところは全部覚えていったのね」
「それで受かっちゃうんか、すげーな鹿乃」
「けどやっぱ鹿乃さん時々ちょっと脳筋思考なとこあるよな」
「そこが可愛いのよ。ね、透ちゃん」
「その通り! 弱点は魅力なんだよ男子諸君!」

 *

「これまで鹿乃さん見てきてちょっと思ったんだけどさ、鹿乃さんはなんか、自分の中で二つのモードを勝手に切り替えてるっぽい」
「お、緑谷っぽいの出たな!」
「デクくん。そうなの?」
「うん。なんか理屈からきちっと筋道立てて論理的に考えてるときと、センスでこうひょいひょいって感じで考えてるときとある気がする」
「私そうなんだ」
「へえー、俺には違い全然わかんねえや。鹿乃ちゃん教えてくれるときどれもすげーわかりやすいしさ」
「嬉しいな。ありがとう」
「あの分野はちょっと横に置いとくけどな!」
「う……」
「わり! けどそんだけ苦手なのに頑張ってんのすげーって思うよ。逃げずに立ち向かう! 漢らしいぜ鹿乃ちゃん!」
「戦い続ける覚悟はできてる」
「鹿乃さん、その分野関わるとなんかスイッチ入るよね」
「ここに入るとき一回この宿敵に殺されかけたの。だからかな」
「殺されかけた」
「って何?!」
「徹夜連続記録チャレンジみたいになったってゆっとったよー。ね、鹿乃ちゃん!」
「おお、麗日おつかれ」
「いやそれはそれで受かったの凄いよ?!」