バスに揺られて数時間。終点の街はとても静かな場所だった。とっくに日も暮れてしまい、長いこと揺られていたので疲れを取るついでに休息を、という葉と竜の提案で私達はこの静かな街のモーテルで一晩を過ごした。
「おーしみんないいか。これがこの前リリララから貰った地図」
開口一番そう言い放ち、葉が見せてきたのはパッチ族の集落への手がかりを記した地図だった。
パッと見、今居る現在地からかなり遠くの方に位置しているみたいだ。
「メチャ遠いねぇ。大体…300弱くらい離れてる感じ?」
「ん、ざっくり北に300km。この限られた中で時間を有効活用しねーと間に合わねぇ」
「おいおい、なんで葉がいきなり仕切ってんだ?」
「オレの提案だ」
「あ?」
リーダーみたいに仕切る葉が気に食わなかったみたいで、ホロホロは面倒くさそうに突っかかる。え?てか元々葉は仕切って無かったの?すっげえリーダー感出てたけど違ったのか。
「もはや俺達はコイツを除いて運命共同体となった。となれば必ずリーダーが必要になる」
「あーあ、やっぱ私はカウントされてない訳ねぇ」
「当たり前だ。貴様はまだ俺達の信頼を勝ち取れていないのだからな」
「わかってるよ、そんぐらい」
「フン…第一、組みたくない奴がいると隊が分裂する」
「なんでこっち見て言うんだよ!」
チラチラと、蓮は私とホロホロ、あと竜を物言いたげに見ながら結構どストレートな物言いをする。うーん分からん。ここに来て日が浅いから全く皆の相関図がわからん。
「実力的には本来ならば俺が適役。しかし先頭に立って目立つのは性に合わんからな」
「街中馬で走り回ってる奴が何言ってんだ!」
「ええっ、コイツ馬とか乗ってんの?!ヤバすぎ」
「おい左門リリカ。馬に乗るヤツのどこが可笑しいと言うんだ?俺に詳しく話してもらおうか…二人っきりでな」
「…なんでもないです…ハイ」
やべーよ。確実にサシでタイマン張る気じゃん。
言うんじゃなかった。
「まぁこんな奴もいる訳だ。他の奴らは弱くてマヌケで話にならん。そこで葉になった訳だ」
「そこまでにしとけ、蓮。で、話を戻すがオイラ達はこれからここの場所へ向かう。パッチ族の村とは断言できんがな」
「ねぇ、君達」
明後日の方向から声が聞こえる。
振り向くと、緑の髪をした少年が、まるでお伽噺に出てくる、可愛い妖精をチラつかせて佇んでいた。