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そそくさと立ち去ろうとするリゼルグを呼び止めたのは意外や意外、あの道蓮だった。

思いもよらない展開に、病室を出て合流したホロホロと顔を合わせていたらリゼルグはまた困った顔をしながら「場所を移そう」と提案し、ファストフード店で飯をつつき合うという現在に至るのである。

「しっかし驚いた。ハオはそんなに小せえ頃から動いていたなんてよ。ま、500年前から居るぐらいだ。その位はおかしくないか」
「500年前ぇ?!そんなの聞いてないぞ竜!」
「あー…そうか、リリカには話してなかったか」

驚愕な話をスラッと話すもんだからつい聞き流しそうになったが、おかしいだろ!
500年て、一体全体どういう事なんだ?あの小さい少年の容姿は仮の姿で、実はすっごいおじいちゃんでした[D:12316]とかいうオチなのか?!

「多分リリカの考えてる感じじゃあ無いぜ。何でも葉のダンナの実家で聞いた話だと、アイツは幾度も転生を繰り返しては色んな奴を巻き込んできた。バケモンだよ」
「転生って…マジかよ」

私だって魔術師の端くれみたいなもんだ。転生術は聞いたことがある。
先人達が如何なることを持ってしても、到達できなかった領域を、ハオは500年もの間、繰り返してたと?

途方もない巨大な力を、教えられたような気持ちだ。
なんて奴と関わってしまったのだろう。あの時、私は葉達とこうして旅路を共にしなければ、この底知れぬ恐怖に実際晒されていたかも知れない。

「この俺を差し置いてシャーマンキングダムを作ると豪語した許せん奴だ。オレを差し置いてる所が特に」
「まーた始まったよ」
「何だホロホロ。文句があるのか?」
「ねーよ!クソっ」
「ちょっと!このクソ狭い席でケンカすんじゃねーよ!」

ガタガタと暴れるホロホロと蓮を静止する。狭っ苦しい場所で何してんだよ。アホか。
もうちょっとリゼルグみたいに大人しく飯が食えんのかコイツらは…

「あのさ、おかしくない?ボク、蓮くんと葉くんの最終予選を見てたけど、蓮くんだって同等の力を持ってる。8年前、ボクの父さん達を殺すまでは仲間集めだったとしても、ちょっかいを出すなら蓮くんでも良かった筈だ。なのに、何で葉くんなんだろう」

神妙な顔をしてリゼルグは疑問を吐き出す。
確かにそうだ。私に交渉してきた時もアイツは葉達を名指しにしていた。ハオはなぜ、葉達を狙うのだろう?