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「なんだ…?変な寒気がしたぞ」
「えぇっ、どうしたの葉。風邪??マスクいる?」
「いや、マスクよりこいつの格好正した方がマシになるぞ」

珍しく苦虫を噛み潰したみたいな顔で身震いする葉は、なんだか顔色が悪いように感じた。
アメリカの中でも少し標高の高い山間へと向かう道中なので、寒暖差にやられて風邪でも引いたかと心配したが、ホロホロのツッコミで思わず噴き出しそうになる。

「風邪とかじゃねえと思う…うーん。いつか感じたものと似てる気がするんだよなぁ」
「それってよぉ、お前のおっかねえカミさんのプレッシャーが届いたんじゃね?」
「下らん。体調管理を怠っただけだろう
「……か、カミ……?!」
「どうしたんだよ、リリカの姉貴」
「(姉貴…?)カミさんって…葉、ガールフレンドが居るの…??もしかしてスルーって事は皆知ってるって事なのか?!?」
「何を今更」
「同じく」
「ボクはたった今知ったけどそこまで驚きは…」

サラリと皆さんご存知!みたいな感じで言ってたけど、そこはリリカ、聞き流さないぞ。
穴があれば突っつく、紐が垂れ下がってたら引っ張る、そういう性格の私は面白そうな話は非常に気になるのである。

葉に、ガールフレンド!!!
マジかよ。まだ中学生だってのに!!

「う、羨ましい…」
「リリカ位の女が言うと悲壮感増すな」
「おうおう、何か文句あんのかホロホロくん」
「……そう言う所が、色々と逃しているんだ。貴様は」

図星。何も言えねー。
自分でもこの性格はなかなかいい性格をしてると思う。(皮肉だけど)
しかし、こう…余りにもストレートに言われると…

「傷つく!!!」
「あっ、不貞寝だ。独り身のリリカが不貞寝したぞ」
「うるせーよ。何とでも言え、私は寝る!!」
「……しっかしよぉ、あのジャンボ機から落とされてもう5日かぁ」

期待はしてなかったけど、私へのフォローは無く、ホロホロはしみじみと旅の振り返りをし始めた。
……しっかし、もう5日とは言うが、私の体感は既に半月くらい立っているような気持ちだった。

人間は初めての物事に対する体感時間は長く感じる。と聞いたことがある。
初めてのアメリカ、初めての同じ様な力を持つ仲間たち……そして何より、初めて向けられた、悪意とそれに交じる殺意。
最後のはマジでブルった。なんせあんなちっこい少年がバカでかい精霊を従えてるんだ。
胡散臭い笑顔ってのがまた一層、薄気味悪かった。

そんな密な経験が沢山あった数日間。私の総評としては、楽しかった。
いや、まだまだ道中だけれど。
本当に濃い数日間。きっとこれからもこいつらと一緒に行けば、もっと楽しい事が起こるのかもしれない。

いままで感じることのなかった楽しみは、これほどまでに綺麗で、潔い気持ちだ。

何だか気分が良くなってきた。さっきの交友遍歴中傷なんてもうどうでもいい。
だがな、覚えておけ今回いじり倒した少年諸君。マジで今度同じ境遇に立ったら、ボロクソに言ってやるからな。