コロラド州、デュリンゴの町は小さい規模ながら非常に栄えた歓楽地だった。
ホロホロは道中の雪山にて我慢出来なかったのか、私達を先に行かせ今頃楽しく山とよろしくやってるんだろう。
なので1人欠けた状態で、この街でアイツを待っていたのだが余りにも遅すぎる。
蓮も痺れを切らしパッチの集落、メサにさっさと行こうと提案する始末だ。
「アイツ、もう3日も連絡無いしまぁ心配っちゃ心配だねぇ」
「喧嘩相手が居なくて寂しいのか?リリカの姉貴」
「はぁ?寂しくなんかねーよ。ただ老婆心っていうの?あんなちっさいガキが帰ってこねーと誰だって心配するつーの」
少し寂れた宿のラウンジの席で、夜更けの歓楽街を窓から眺める。
蓮はさっさと飯を食うなり自室に篭もり、リゼルグは葉と2人で外に出かけた。
残る私と竜は特にすることも無いので、暇潰しに人気のないラウンジで適当に駄弁るしかないのだ。
「しっかし案外長いこと一緒にしてるけど、竜とサシで話すのは初めてかもな」
「そういやそうだな。リリカの姉貴、どうだこの旅は」
「割と楽しいよ。ちょっと前まではこうやって他人とつるむのが一切ない環境だったから。ははっ、昔の私が居たら教えてやりたいね。こんなにも面白いヤツらと出会えて、ここまで楽しいと思える日々が来るなんて……夢みたいだ」
「そうか、リリカの姉貴は…色々あったもんなァ……」
絆されるのはこれ程気分がいいものか。蓮の野郎は未だ変に壁を作ってくるがまぁ初見の時よりかはだいぶマシになった。
葉は言わずもがなフツーに接してるし、ホロホロも軽く冗談を言う間柄だ。リゼルグも特に問題なくつるめてる。
竜もこうしてサシで話せているし、特に問題は無い。
そういえば、竜はどうしてSFに参加して、葉達と一緒にいるのだろうか。
「竜は、なんでSFに参加したんだ」
「俺?俺はさ、葉の旦那に出会うまで、自分のベストプレイスを探し彷徨う一介のワルだったんだ…仲間のベストプレイスばかり与えて、自分の落ち着ける場所を疎かにしちまってたんだよ」
「ほうほう、そこで葉と出会ったと」
「そういうこった。旦那はすげえよ。俺の生きる道、ベストプレイス、ぜーんぶ引っ括めて教えてくれたんだ。阿弥陀丸師匠も、葉の旦那も、俺はメラ尊敬してんだ」
『おい、俺サマを忘れてんぞ』
「ぎゃっ、で、出たっ」
しみじみと拳を握りながら語る竜の側に、持ち霊がドロンと現れた。マジでドロンって感じでビビった。
幽霊だもんな、そりゃそうやって出てくるわな。
「おぉ、悪い悪い。お前も忘れてたぜ蜥蜴郎。コイツも俺の無茶に付き合ってくれたんだ…今じゃ最高のベストプレイス仲間ってな」
『変にアツいヤローなもんでたまにムサくて鬱陶しくなっちまうぜ…手前は子守りをするのは向いてねーんだよ』
「子守り……はははっ、蜥蜴郎は大変だな」
「おいおい、俺はガキじゃぁ無いぜ。まったくよお」
阿弥陀丸と葉もそうだが、やっぱり竜とトカゲロウも相性が良いんだろうな。
お互いワケありもの同士、惹かれるものがあるって奴か。
私はこうしたパートナーは特に決めてはない上、司令を出すだけで意思疎通を図ったことがねーから、ちょっと羨ましい。
『そういや、嬢ちゃんはシャーマンキングになる為にこの戦いに参加したんだろ?なんか目的でもあんのか』
「まぁ無かったら参加しねぇわな。私は、親とか、家柄とかで縛られて育ったから、そーゆー事が無い世界にしたいんだよ。生まれ育ちで決められる世には懲り懲りだ」
『ほぉーっ、そりゃぁいい。俺サマも出自でクソ喰らえな人生送ってきたからな』
「おう、リリカの姉貴と気が合うかもな。蜥蜴郎」
『思想の一致と気が合う合わねえは別なんだよ』
フンと鼻息を漏らし中々深いことをいう蜥蜴郎に関心する。流石は幽霊。長いこと生きてりゃそういう考えも出るか。いや、死んでるから生きてるって変な例えだな。
なんてアホな事を考えてると葉達が帰ってきた。
色々買い出しをしていてくれたらしい。
さて、2人も交えて色々と話に花でも咲かせるか。