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「おーおー、結構派手にやられちまったなぁ…」
「フン、コイツが3日連絡も寄越さず挙句の果てに詫びも無し、それでこの態度では相応の罰だ」
「そーんなこと言って、結構心配してたんじゃないのー?」
「お前もホロホロのようになりたいか。女とて容赦せんぞ」
「……すんませんした」

マジでヤル気の目をしていたのでこいつは訂正しないとヤバい。
ホロホロがなぜここまでボコボコにされたかというと、今朝方ひょっこりと何食わぬ顔で戻ってきたからである。
規律とか自分のペースを乱されるのが嫌いな蓮はまぁたいそう怒ったのに飄々としてやがるから、今こうして顔面が腫れ上がっているのである。
流石に可哀想なんで適当に湿布を貼ったら「もう少し優しく」とか言いやがった。蓮、お前の気持ちちょっと分かるわ。コイツのこの勝手な所、死なねーと治んねーやつだわ。

「オイ皆、いよいよ見えてきたぜ」

ギャアギャア言い合いしていたら、竜が目的地を見つけたようだった。

巨大な洞穴に点在する、まるで歴史の教科書に載ってるような石造りの家々
ここが……

「メサ・ヴェルデデ…」

文化遺産になってるんじゃないかって位の遺跡みたいな街並み。ここに、葉達の言うパッチ族のヒントが隠されてる。
変な焦燥感に、ついソワソワしてしまう。

「お?なんだよリリカ、トイレか?」
「ちげーよホロホロ。おまえこそ花摘みは良いのかよ」
「お前…そういう変な所だけ品良く言ってもなぁ」

葉に珍しく突っ込まれた。
えっ、私いつも品行方正のつもりなんだけど??…なんてな。こんなセーカクの女が品行方正なら世の中やべー事になってるか。わはは。

そんな馬鹿な事を考えつつ、車から降りメサ・ヴェルデデの旧市街へ向かう……が
人、人、カメラもった人、出歯亀みたいな観光客でごった返していた。

「何なんだこりゃ、完ペキに観光地化してやがるぜ」
「だよな、竜、私の幻覚じゃぁないよな」
「あぁ、リリカの姉貴がおかしいんじゃねぇな」
「フン……手掛かりの望みは薄いな」

やっと見つけたと思ったのに。残念。
観光地化しているなら粗方調べられてるに違いないし、パッチ族の集落というのは社会に隠れた場所という認識だ。
ここは違ったのだろうか。

「ま、まぁなにかあるかもしれないから、探そうよ」
「リゼルグの言う通りだ、もしかしたらってことも……ん?」
「どうした?」

葉が何か見つけたらしい。
目線の先を辿ると、立入禁止のテープがしてある。
テープの先には真っ暗だけど、道が続いている……あ、怪しい。怪しすぎる!

「入るなと言われれば言われるほど、入りたくなっちまうんだよなぁ私」
「こればかりはアホのリリカの意見に同感だ」
「おい、アホってどういう事だよ」
「あーあー、ダメだよ君達」

蓮の問題発言に突っかかろうとした所、困ったような男の声で注意が入る。
管理者にバレたと一瞬冷や汗をかいたが、振り返るとあからさまに怪しい奇天烈軍団が佇んでいるではないか。

「ここから先は限定のパスが必要なんだ。どうしてもと言うなら我々のを分けるが……着いてくるかね?」
「いや、どう見ても怪しいですやん」
「なんだそのヘッタクソな関西弁」
「なんか…私の血が騒いだ」
「ふ、ふふふ……今日は嫌な日だな。やけにさっきからリリカと意見が合う」
「お?お?コラ、テメーマジでやんのか?」
「……あのうるさい女は無視して、葉…こいつらの顔に見覚えはあるだろう。ハオの手下だ!!」

すっげームカつくことを言われたけれど、蓮その一言で一瞬にして血の気が引いた。
ハオ、ハオだって……??
わ、私を殺しに来たのか……?いや、それにしては人数が多い。なるほど、私にされた依頼のように、コイツらは葉達を狙う刺客なのか……!!!

久しぶりの感覚に背中がゾクゾクする。
コイツらは多分、穏便に帰ってくれるヤツらじゃぁない。