リゼルグがやられた。
あまりの速さに私達は声1つ出ない。
一体何が起こったんだ?
「仲間にすら猜疑心を抱くなんて……愚かだね。隙だらけだったので先に始末させてもらったよ」
「てめェ!!オレのリゼルグに何しやがんだ変態野郎がよォ!!!」
「変態…?キミには負けるよフ、フフ」
カッコイイ場面なのにそのようわからん一言で台無しだ!竜!!
なんて事を考える暇があるなら!とっとと応戦せねば…!
竜の護衛に就かせてもらおうじゃねーか
「遅いよ。醜い者」
やはり敵は早すぎる。瞬時に彼の背後を取り自慢のリーゼントを綺麗に削ぎ落とした。
驚き地面に臥せる竜と、攻撃により力なく倒れ込むリゼルグに駆け寄り急ぎ生存を確認する。
…首から血が出ている。敵さんはどうやら、リゼルグの血液を失神するくらいには噛み付いて吸ったって事か。
まるで吸血鬼じゃあないか。なんてこった。日光浴びても灰になんねー吸血鬼って居んのかよ。チートじゃん。
これ以上危害が加えられんように幾つか獣を召喚する。
私の喚んだ獣達の嗅覚が先か、あの吸血鬼が先か。やってやるよ、畜生。
「……ふむ。善い。とても善い。生娘の生き血を啜ってこその吸血鬼というものだ。お嬢さんには悪いが…使えぬ駒よ。死んでもらおう」
「うっせえよ藪蚊野郎。一生ボウフラと一緒に汚水で暮らしてろ」
「…………汚らしい言葉だ。強がるのはそこまでだと思うがね、紹介しよう。私の持ち霊バンパイアハンターのブラムロだ」
多分私一人では絶対に勝てない。私は後方支援系なんだよ。こうやって前に立ってブイブイやるのはかなり調子のいい時くらいしか出来ない。
因みに今は腕もクソ痛えし、後ろに倒れた仲間が居るもんだからかなりプレッシャーで調子は頗る悪い。
「吸血鬼がハンター従えてるってのはまた皮肉なもんで」
「でしょう。あのヴラド・ツェペシュ公の末裔である私の隷属に相応しい持ち霊です」
「生憎、こっちも西洋のアングラオカルトには精通してるもんでよ。あんたら一族はいつまで経っても趣味わりーことばっかりしてんだな。普通に引くわ」
行儀悪く貧乏揺すりをしながらなるべく相手の平常心を損なわせねば。
怒りで隙が出来た時が狙い目だ。あの野郎、調子に乗りやがって。
「成程。左門の名はこちら側でも名高い召喚士シャーマンの家系とお聞きしましたが……やはり凡愚な者の血と混じるのはいけませんな。お嬢さんのような良くないものが生まれる」
「オイ。ボンクラ、そのムカつく名前を出すんじゃねぇよ」
「はぁ…貴女、相当死にたいとお見受けしますねェ」
するりとまた、目にも止まらぬ早さで背後に立ち、私の首元に手をかける。お前が後ろに立つのは分かりきってるんだよ。マヌケの能無しが。
「なんも出来ないなら最初から煽んねーよ」
「!!!」
敵さんのさぞ驚いた顔の面白さ。堪らないね。
ただの貧乏揺すりだと思ってた?残念、簡易陣を書いてたのでした。
しかし即席クオリティ、貧弱な力の下級精霊や獣しか喚べない。尚且つ攻撃力は全くない、けれど怯ませる位は出来るだろうと悪風の魔獣がバリアのように私を包み攻撃を避けることが出来た。
不意打ちに思わず遠のき距離を取る敵さんを見つめ、あとどれ位時間を稼げば最善のことが出来るだろうと考える。
蓮と葉、もう少しで復活する竜の3人なら何とかなる。
しかし敵は1人ではない。後ろにも控えているもんだから、中々容易に蓮達も助太刀が出来ないんだと思う。というかヤッコさん、それが目的だろうな。セコい野郎共だ。