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「人間が……」
「ひ、干からびた」

あろう事か、人間がサラサラと塵状になった……!
こんな事アリなのかよ。嘘だろ。
倫理も、何もかも無視した事柄に深い驚きと、少しの怒りが湧いてきた。
理想や思想は違えど同じ志があって同じ人間を慕い、共にしてきた仲間を、尊厳もクソッたれもなくここまで人を踏みにじった殺め方をするだなんて、マトモな奴らじゃないぞ…

「仲間が殺されたのにも関わらず顔色ひとつ変えやしない。異常だな貴様ら」
「志半ばで死んでしまうのは承知さ。弔いはハオ様に着いていくと決めた時に皆既に済ました」
「死ぬ覚悟で決まってもねぇのに弔うなんざ……やっぱりおまえら、異常だぜ」
「何も知らぬというのに…ペラペラと文句ばかり。ハオ様が煙たがるのも分かる。さて、私はもう君達を殺すと決めている。早く続きをしようじゃぁないか」
「げほっ、うぅ…ぼ、ボクは」
「!リゼルグ、気づいたんか」

ボリスに攻撃されたダメージで、フラフラの状態だが起き上がるリゼルグへに葉が駆け寄る。
血をかなり抜かれた様で、真っ青な顔がとても痛々しい。早急に手当をしないと死んでしまうかもしれない……
だからこそ、この目の前の慈悲なき敵を、ボリスを倒すか何とかして退散させなければ。

「葉くん、リリカ…さっきはごめん…はぁ、なんだかずっと寒くて、震えが止まらなくて」
「おいリゼルグ!しっかりしろ!!」
「葉、なんか止血できるやつないか!私が当てたハンカチももう血まみれだろ」
「あぁ、もうすげぇ事になってる!オイラ布なんてなんにも持ってないからどうしようもねえや……リゼルグ、しんどいと思うけど座れるか」

離れてても聞こえる位、ふうふうと辛そうに息をするリゼルグがとても痛々しい。幸いさっきまでクソ痛かった利き腕も痛みが消えだした。感覚が無くなったって事だから緊急事態なんだろうが、アイツの方が生死に関わる。
まぁいい。何としてもあいつらを片付けないと事は進まん。
蓮が合図のように皆と視線を合わせる。4人で一気にぶん殴るしかないみたいだ。

「葉、リリカ、ホロホロ。一気にあの吸血鬼を叩くぞ」
「お、おう……!任せとけ」
「私は何時でも準備は出来てる。大丈夫だ」
「あっ、おい待てよ!まだオイラ何もできてねーよ」

「大丈夫ですぜ、葉の旦那。この俺が復活したからなァ」

お、おぉ……なんかすっげえカッコいい再登場してるけど、コイツリーゼントぶち壊されて気絶してなかったか。
さっきの間抜けな姿とは打って変わって勇ましく木刀片手に竜は私達の前に立つ。
アイツの後ろ姿はまるで痺れるワルの頂点みたいだ。

「ボリス……さっきはよくもリゼルグをやってくれたなぁ。この俺様が直々にヤキ入れてやる」
「ふふふ、は、はははっ!!!何と!私を倒すと!私の強さがまだわからんと言うのか。愚かも、」

ボリスが喋りきる前にドギツイ顔面ストレートが1発入った。あぁ〜っ、すっげえスッキリしたわ。
予想外の事だったようで目を白黒させながらすぐさま奴さんは竜と距離を取る。
このままコテンパンにやってくれそうだ。いいぞ、胸糞悪いから思いっきりやってくれ。援護が必要なら何時でも私もボコるからな。

「今の俺は……メラっメラの怒りモードだ」