1

「目が覚めたか」

深い眠りのようなものから覚めたような感覚だ。
気づいたらいつの間にか寝ていたらしい。なんだ、一体何が起こったんだ。

「わ、私は一体全体、なんで寝てたんだ……?!確かパッチの村に辿り着いて、そっから…そっから…?どうなったんだっけ?」
「恐らくその記憶の曖昧さは、グレートスピリッツによるものだ。余りにも巨大過ぎる力に皆圧倒され失神する。君もその1人だったという訳だ」

スーパーロン毛なネイティブアメリカンっぽい装いの兄ちゃんが私の様子を見に来てくれたらしく、淡々と事の経緯を説明する。誰だよ。何か知ってそうな素振りだな。
しかしこのよくわからん兄ちゃんがわかり易く説明してくれた為、今の状況の把握が出来やすくなった。…なるほど、私は失神してたのか。ん?待てよ、グレートスピリッツだって?
それが居るってことは、つまりここはもしかしてパッチの村の施設か何かか?

「君の想像通り、ここはSF本戦地パッチ村だ。ようこそ左門リリカ君」
「……何で思った事が分かんだよ」
「はははっ、顔に出ているよ。オレは一応ごまんといるSFの参加者を担当しているからね。他人の細かい表情の変化は読み取る位はできるさ」
「……ん?参加者の担当?ああ、やっと合点がいった。お前十祭司か!」
「申し遅れた、オレはシルバ、十祭司の1人だ。本来ならば君の担当が迎えに行く筈だったが…他の仕事があるようでね、代わりにオレが来たって事だ」

そういう事か、十祭司も大変だなぁ。予選で振るいにかけたとはいえ、本戦参加する奴なんてまだまだ沢山いるだろうに。
うちの担当のやつはどんなやつだったっけ。あの予選の時点でかなり忙しそうだったんで顔を合わせる事が殆ど無かったから、微妙にしか思い出せない。

「さて、自己紹介もここにしておいて…おめでとう。リリカ君、きみはパッチ村最初の試練を見事達成した」
「……は?」
「最初に、グレートスピリッツは非常に巨大な力を有している存在だと説明したのは覚えているかな?」
「あぁ、流石にさっきの話だから覚えてるよ。それと何の関係があるんだ」
「大いに関係があるさ、殆どの参加者は全ての源であるグレートスピリッツの力に酔い、失神してしまう。しかしたまに二度と目を覚まさずに二度と目を覚まさない人が居る。シャーマンキングになるべくものはその力に圧倒される時点でもう駄目だ」
「ふーん、そういう事か。私はなんとか本戦の参加権は得られたって事でいいんだな?」
「簡潔に言えばそうなる」
「……そっか」
「嬉しいかい?」
「当たり前だ。この為にずっと、頑張ってきたんだ。仲間と共にね」
「…………仲間…あ、あぁ!!すまない、忘れてしまっていた!!君のお友達は何人かもう先に目覚めているよ。恐らくリリカ君の事も待ってるよ」

いきなり大きな声を出すもんだから少し驚いた。
仲間、葉達全員ではないけどちゃんと問題無く起きてると思うと少し安心。
てか、こんな所でぼーっとしてる場合じゃない。待ってるなら早く合流しないと。
眠っていたベットから飛び出して支度を始める様子を見たシルバは何が楽しいのか、にっこりと笑いながら仲間達が待っている場所を告げ退室した。

あーそういや、誰が目覚めたのかとか聞きそびれた。まあいいか、さっさと合流すりゃ誰が今居るか分かる。
荷物が揃っているのを確認すると、一目散に屋外の広場へと向かった。