「どうしよう」
「は?どうしたんだよリリカ。トイレか?」
「だーかーら、トイレじゃなくて花摘みって言えよ。きったねーな」
「お前の言葉遣いの方が汚ねーよ。で、なんだよ」
「本戦開始まであと半月切ってんのにチーム連携の話とか演習的な事してねーじゃん。大丈夫なのか?」
「……なぁんだ、そんな事かよ。近いうちにアイツからお達しがでるだろ多分。それまで個人で修行しとくんだよこういう時は」
「うーん、なんか腑に落ちねーけど、そんなもんか」
なーんて会話をホロホロとしたのは半月前。
今、目の前にはバカでかいフィールドとその周囲を取り囲む観客席が見える。
そう、もう始まってしまったのだ。シャーマンファイトの本戦が。この東京の無人島で!!!
そしてこれから私達の初試合が始まる。
何の!打ち合わせも無しに!始まる!!!
嘘だろ。なにかの悪い冗談だと言ってくれ。
「あのさぁ…どーすんだよこれ」
「どーすんだよ…あっ!胴寸?」
「…全っっ然面白くねーよ。もうちょい捻り入れれねーのかお前は」
「ひっでぇなぁ相変わらず。この数ヶ月オレはひたすら面白ギャグを考え抜いてたってのに」
「いや、修行しろよ」
「だーかーらぁ、修行はしてるぜ?リリカ。ギャグセンスの。な!」
ギャグの修行して何になるんだよ。
突っ込む気力も湧かない。
こんな奴らよりぶっちぎりで腹が立つのは、後ろで猿山のボスよろしく仁王立ちでふんぞり返ってる蓮だ。
リーダーだってのに特に打ち合わせも無く勝手にしろと一言だけ言ってこの現状だ。
ふざけんな。連携出来ねーとこの先必ず不利になるぞ。
個々の力でゴリ押しできるほど甘いもんじゃ無いと思うんだけど。
「…でさぁ、マジでぶっつけ本番でやんの?まだ話し合う時間あるけど」
「何度も言わせるな。本戦までの間俺程じゃないが少しは鍛錬したんだろう」
「答えになってねーよ。…いつかこの破綻したチーム、ボコボコにされるぞ絶対」
「ならばそれを超越できるように強くなればいい」
「お前にまともな対話を臨んだ私が馬鹿だった!」
力技でなんでも押し通せると思ったら大間違いだ!!
あぁもう、こうして不毛な会話をしている内に相手のチームが出て来てしまった。
「何騒いでんだ君達ぃ?先に俺達に倒される順番決めでモメてんのか?」
「あっ!!あいつら!」
「ん?ホロホロの知り合いか?」
「し、知り合いじゃねーけど俺は知ってる!あの坊さん、ハオの手下の野郎共だ!」
「マジか!!初戦初っ端からぶち当たったのかよ!」
「俺達の事を覚えててくれたのか。いやぁありがたい事だね!しかし残念だが…」
「あぁ、とっても残念だが」
『君らはここで終わりだぜ!!』
敵はギター片手に僧侶の格好をしたよく分からんユニーク集団だった。
コイツらがハオの手下…。予想外過ぎて呆気に取られてしまう程…うーん、小物くさい。
いや!相手を見くびるな私!
こうして対戦相手を油断させて奇襲を謀る奴らなのかもしれない!そして1番気になるのがあの坊さん達の後ろにいるようわからんメキシカン野郎だ。
……揃いも揃って皆楽器持ってんな。トリオミュージックでも組んでんのかこいつら。
「なんか初戦早々調子狂う奴らが相手って、やだなぁ」
「そこのお嬢さん、嫌なら今のうちにこの戦いから降りた方が無難だと思うぜ?俺達は女子供容赦しないからな」
「ふざけんな、何舐めてかかってんだよ。ぶちのめすぞ。ボウズの兄ちゃん」
敵の煽りにカチンと来る。私は舐められたり下に見られんのが1番嫌いだ。
屈辱的な気分になり腹が立つ。
泣かす。絶対泣かす。
大の男が悔悟を噛み締める位大泣きさせてやるからな。
「大本命のハオ一味とはオレ様驚いたぜ。ホロホロ、どうするよ」
「なんで俺に振るんだよ」
「つーかどうするも何も、大将の「ご意向」を聞かなきゃならんでしょ。なーんも対策してねーけどどうすんの?蓮」
「気にすることは無い。あの二人はチョコラブが対処すればいい」
「えっ……えっ、お、オレェ?!」
「俺はザコを相手にする気は無い。本命は俺一人で討たせてもらう」
うっわ。言いやがった。
蓮の啖呵は勿論敵さんの耳にも聞こえていたようで静かに怒る口調でぶつくさ文句を垂れている。
あーあ、もう知らね。
こいつら全く協力して戦う気無いし、私も好き勝手にするしか無さそうだな。こんなんで勝てんのか。
シャーマンファイトを取り仕切る族長が試合の開始を告げると同時に、私は媒介を取り出した。