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「はははっ!!!驚いた。お前は思った以上にバカなのだな」
「……うるせえよ、クソ野郎」
「ほう、では次は君が相手をしてくれるのかな?この私を黙らせてみろ」
「チョコラブの意図はわかんねぇ、けどよォ…ここまでコケにされちゃあ俺も黙って見てられねーよ!!!」

敵の煽りに対して、遂にホロホロがキレた。
激情型な彼にしてはよく耐えた方だと思う、こんなにも心底人を馬鹿にした態度を取られると誰だって腹が立つ。
冷気を凝縮した拳をペヨーテにぶち込もうとしたその時、二人の間にチョコラブが割って入った。

「なっ、お前…!」
「待ってくれ、ホロホロ…オレの戦いはまだ終わちゃいねぇ。さっきも言っだろ、ここはオレに任せてくれよ」
「ここはオレに任せろだって??ハハハ!!これは傑作だ!殴られるだけのサンドバッグに何が出来ると」
「それがな、出来んだよ」

凄まじい巫力の昂りに肌がヒリつく、痺れる位イカした決め台詞を放ったチョコラブは、どこにそんな余力があったのか膨大なパワーを放出した。
O.Sがどんどんと膨れて、その影響だろうかアイツの周りから黄金に光り輝く風が吹いている。

「GAG WIND!!!笑いのめして、お前らを負かす!!」
「な、何をとち狂った事を…お笑いの風だって?そんな事をせずともお前がここで死ねば、人々のお笑い草になると私は思いますねェ!!」
「そういった笑いは好みじゃねぇんだよ。オレなりの、オレの巫力を全て掛けた究極芸をくらいやがれ!!!」

大きな啖呵を切ってチョコラブのO.Sは更に膨張した。
究極芸…究極「技」じゃあないのか……。
全身全霊を掛けた彼の反撃とは一体、どのようなものなんだろうかと砂煙の向こうに見えるチョコラブに目を凝らす。
…チラッと今、1部分が見えたがそれだけで察した。
頭が痛くなってきたぞ。あいつ、ギャグウィンドとかクソつまらなさそうな名前言うし、もうその時点で嫌な予感はしていたが、まさかここまで徹底的にお笑い勝負に持ち込むなんて思わなかった。

「エアーズロック!」
「……は?」

わかる。ペヨーテの反応めっちゃわかる。
O.Sを台形に肥大化させて、自称コメディアン王はその頂の上でひっくり返っていた。
エアーズロックにでも見立てて居るのだろうか。
余りにも高等なギャグすぎて、このシャーマンファイト本戦会場が一瞬にして静まり返った。

「は…ははははっ!ほうら言わんこっちゃない!!ていうかお前、つまんねえ!何をやるかと思っていたらこんな事を!!あー、驚いて損をした。これから本当にトドメを刺してやろう」
「なーに喋ってんだよペヨーテ。ヒビりやがって、さっきつい笑っちまったからビビってんのか」
「笑ってなどいるものか!あれはさもしいお前をバカにしただ…?!」

ペヨーテはチョコラブのこの突飛な行動に少し焦りを見せる。
何故なら、つまらない芸なのに、何がしたいのか分からないのに。
アイツのO.Sした骨達が一斉に笑いだした。あの坊さん達に憑依していた霊も、チョコラブが体張って表現したよくわかんないギャグに腹を抱えて笑っている。
えぇ……ウケるのかよ。

「何を笑ってるんだ!!程度の低い物で笑いやがって!しかし、何故だ。私の巫力によって操る奴らが笑えるはずなど…」
「吹き飛ばしてやったのさ。笑いの風ってのは、邪に取り憑かれた魂を解放する!」
「だから何だと言うんだ!私にかかれば直ぐに操り直せる!!」
「いいや、今のお前には出来ないよ」

チョコラブの言葉通りだった。
奴の持ち霊は笑い転げるのに必死で、何の言うことも聞かなそうだ。…なるほど、アイツのお笑いもそのまでバカに出来ない。
彼の殺し殺されを否定する信念から、誰も死なない戦いを実行したんだろう。
それ以上に凄い所は、本当に誰も死なないでこのまま終わりそうじゃないか。

…ギャグで何が出来るんだよとか言ったけど、割とこうやって出来ることはあるんだな。
戦いのやり方は1つじゃない、なんかそれをチョコラブに教えられるのは意外だった。

「あぁ、つい感情的になって巫力を出し切っちまった…オレもまだまだだ………あとは、頼んだぜ。蓮」
「…上出来だ、これで奴を守るカラベラ人形を封じたな。ペヨーテ、貴様の敗因はただ一つ…我がチームのチョコラブを侮った。ただそれだけだ」