薄らな恐怖
無機質で薄暗い廊下。
アルヴィス内。
時間は例の件から32時間経過していた。
「一騎さんがまさかあんな事するなんて…」
白衣の少女は気まずそうに語る。
その手にはタブレット端末と、分厚いファイル。
「そうだね。嫌な感じ」
白衣の少女の横を歩く少女が、
さらに気まずそうに眉をひそめた。
その手には薬品箱がのっている。
少女らがしばらく廊下を歩いていると、
薄暗い廊下のはるか先に
淡い光が見えた。
そこは現在、例の件で取り調べを
受けている人物「真壁一騎」を囲っている部屋だ。
ごくりと、2人は息を飲む。
「遠見ちゃん、私やっぱり怖いよ…。
あそこ通りたくない…」
「…でも、通らないと。
先輩の部屋につかないよ」
「うっ」
「おいていくよ」
遠見と呼ばれた少女は、
眉をひそめて歩みをすすめる。
その目は部屋の光を睨みつけていた。
「(真矢姉さんが言ってた通りに
なったのかもしれないわ。
一騎さんの依存が、殺したんだ。
寂しくて寂しくて、大切なものを
せめて自分の中に
とどめておきたくて食べたんだ…ウサギみたいに)」
遠見の脳裏に浮かぶのは
心配そうな表情で、
一騎の事を語る親族の顔。
そして、穏やかな一騎の微笑み。
遠見はどことなく溢れる恐怖を振り切るように、
ヒールを高く鳴らした。
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