Chapter8 〜修練〜





出来上がった料理を一時的に別空間に移して、修練場所に移動すると、そこに白哉の姿があって、思わず駆け寄った。

振り返った彼に手をひかれて、腕の中に納まって。

人前なのに珍しいと目を瞬かせた。


「皆から聞いた。すまなかったな」


「…うん、もう大丈夫だよ」


微笑んでみせると漆黒の瞳が安堵を浮かべて。

大きな手がするりと髪を撫でてくれる。

が、流石に隊長格の死神達が集まる場所で、ずっとそうしている事に恥ずかしさを覚えて離れようとするも。


「っわ!白哉、降ろしてよ!」


何気なく捕まえられて、横抱きされて。

じたばたと暴れる。


「落ちるぞ」


「いや、寧ろ落として?」


「其方を落とすわけがなかろう」


かなり意味の分からない掛け合いをしながら、彼が向かったのはテーブルで。


「朝餉か?」


「うん、そうだけど」


「ならば此処で「食べないよ?!」」


一向に離してくれそうに無い彼の腕から、光翼を顕現させて一旦飛び上がり抜け出した。



地面に降りて、翼を消すと、桃がキラキラした目で飛びついて来る。


「玲ちゃん!何それ、綺麗!」


自分と然程身長の変わらない桃なら抱き着かれていても問題無い為、適当に相槌を打ちながらテーブルに料理を並べた。


「玲ちゃん!やちるも!飛んでみたい!」


「うん、じゃあ後で飛ぼっか」


「やったぁ!」


「あ、私も!」


きゃいきゃいと騒ぐ桃とやちるに微笑んで、取り敢えず食事をと座らせる。


「…無邪気ですね」


「いや、空飛べるなら僕も…」


「飛ばしてやろうか?」


卯ノ花の呟きと、便乗しようとする京楽に。

唯一卍解で氷の翼を生成できる冬獅郎がにやりと笑う。


「いやぁ…やっぱ良いや」


引き攣った笑みを浮かべる彼は、この氷を自在に操る青年がまともに遊泳させてくれる気など毛頭無い事を察していた。


「ピクニックか、此処は」


「まぁ、良いんじゃ無いか?瑞稀が元気になった証拠じゃ無いか」


呆れて呟く更木に、穏やかに笑って掛け合う浮竹。

重々しく頷く狛村と、無表情に戻って席に座る白哉。

七緒は其処に混ざって良いものかと逡巡していて。

玲が微笑んで手招くと、頬を染めて側へ寄った。

穏やかな食事の後。

羽全てが凶器となる光翼を彼女等に創造するわけにも行かず結局代わる代わる捕まらせて空を駆ける。


「うわぁ!速い速い!もっと速く!」


やちるの要望に応えて、元々光の速度で飛べる翼を大きく広げて速力を上げる。

下から見ているとそれは正しく矢のようで。

けれど、優雅に旋回し、地に堕ちるかと思いきや舞いあがるその飛行は、人目を惹き付けて止まなかった。


「…凄いねぇ」


「まるで鳳凰だな」


金色に輝く翼は、尸魂界で神の化身と呼ばれる鳥獣のそれとそっくりで。

見上げる事しかできない大人達はそんな感嘆の息を漏らした。


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