Chapter12 〜葛藤〜

その後、霊力コントロールに躍起になっている修行先行組の後ろで、私は浅打を握り締め、殺気石を見据えていた。
案の定、罅すら入らない霊力を遮断するこの石を、どうすれば斬れるか考えているのだ。
「悩んで出来るもんか?」
少し休憩とばかりに紅茶を飲んでいた冬獅郎が此方を見遣る。
「これは霊力を遮断するけど、拡散や霧散させる訳じゃない。なら」
霊子変換の耳飾りに意識を集中させ、転換率と集束率を150に振り切らせる。
その上で、浅打にその霊力を鋭く硬く流し込み、霊力を形作る。
霧散率、拡散率はマイナス。
高度は最高。
霊圧で身体能力を補強しつつ、これで太刀筋を完璧に振るえば。
キィンと高い音が響いた。
三分の二まで進んだ刃は、霊力を遮断され、途中で折れた。
「力が足りない、か。
霊圧上げながら霊力、霊子コントロールを完璧に保ち、浅打に纏わせる力の硬度と鋭さを限界まで引き上げて太刀筋真っ直ぐのまま思い切り振り下ろせば、何とか斬れるかも」
「んな神業、お前にしか無理だ」
「じゃあ更木さんは?」
「あれは馬鹿力なだけだろ」
「冬獅郎…何か意地悪くなったね?」
「だとすれば、お前の所為だな」
ふっと笑う冬獅郎に、少し頬を膨らませる。
子供っぽいのは重々承知だ。
ポットからティーカップに紅茶を注いで、こくりと喉を潤す。
序でにケーキを創造して、フォークで突く。
甘くない洋菓子に思考を巡らせ、ポテトチップスを出してみる。
「知ってる?」
「知識だけでな」
初めて見るはずのそれにそう躊躇いもせず手を伸ばすのはこれが甘くないと知っているからか。
「…芋を揚げるとこうなるのか」
不思議そうにポテトチップスを食べる冬獅郎が何だか微笑ましい。
遠くでシャッター音が聞こえた気がするから、誰かが撮ったんだろう。
流石にそこまでは気付けないのか、指に付いた塩をぺろりと舐め取る冬獅郎。
無意識のそれが酷く色香を放っていて、私はぱっと目を逸らした。
「なんだよ」
「何でもない」
貴方が色っぽ過ぎるんですなんて言える訳ない。
「そうか。此処じゃ何だから部屋行くか」
「修行しなさい!」
悪戯に笑う彼は、何か気付いたようだったけれど。
私は掴まれそうになった腕を返して、軽く反撃し、彼を的の方へと追いやった。
その後、七緒に素敵な被写体をどうも有難うございますと頭を下げられたりしながら、私は黙って彼等の修行を見守った。
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