Chapter12 〜葛藤〜

二日寝なかった影響か。
テーブルに寄り掛かってうつらうつらしていた私は、慣れない気配を感じて身を捩った。
「あ〜らら。また避けられちゃった。今なら行けると思ったのになぁ」
「京楽。次は怒るよ」
一瞬にして冴えた目で射抜くと、肩を竦める彼。
遊び好きのこの人は、私に触れられれば勝ちだとでも思ってるんだろうか。
「連れないなぁ。僕、修行の所為で脳の神経焼き切れそうだよ」
「無理しろとは言ってないでしょう。
確かに急ぎで身に付けて欲しいけど、取り敢えずコントロールが完全じゃなきゃいけないのは白夜と冬獅郎だけ。
後はある程度覚えて、他の死神の耐久制を鍛えるのに手を貸してくれればそれでいいの」
「具体的にどんな事をするつもりなんだい?」
椅子に座り、自分のお茶を淹れながら、問うてくる京楽。
やって貰うのだから、先に知っておいても良いだろう。
「隊内で仕事の時間を少し借りるよ。
全隊同刻に隊長、副隊長が霊圧を放って少しづつ上げて隊士達に慣らせる。
私は広範囲の時間操作で修行時間伸ばすから、昏倒した隊士は起こして自分の霊圧で防御する方法を教えていく。それしかないでしょ?」
「まぁ、そうかもしれないけどね。それって僕達が完全にコントロール出来れば済む話なんじゃ無いのかい?」
「それはそうだけど。このコントロール方法を完璧に覚えても、感情の揺れによる霊圧上昇までは制御できないよ。それを抑え込むには、相応の年月が必要。貴方なら分かるでしょ?」
「でも、山爺との契約は日番谷隊長と朽木隊長が封印率ゼロで卍解しても昏倒者が出ない事、じゃ無かったの?」
彼の言う事も一理ある。
最終契約はその通り。
でも私は、隊士の耐久率を上げる事も取引内容として提示した。
一度行った事を取り消すつもりは無い。
「全部、知ってるでしょ?」
「いやまぁ、そうなんだけどさ。流石に無茶があるんじゃ無いかと思ってね」
「私に不可能なんて言葉は無いよ?」
時間操作しながらでも、どうしても無理そうな隊士の霊圧探知ぐらいは出来る。
そう言った隊士には霊圧防御装置を創るつもりだし、それでも駄目なら、神力を得た今、魂魄自体の耐久性を引き上げる事だって可能なのだ。
無いのは時間だけ。
でも、それも、私の前ではほぼ無意味。
「やれやれ。敵わないね」
困った様に息を吐く京楽に、小さく笑っておいた。
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