Chapter12 〜葛藤〜

「あ〜やってられねぇ」
油煎餅を齧りながら、ぼやくのは二番隊副隊長、大前田。
「ほう?貴様は玲に従えぬと言うのか。余程私に殺されたいらしいな」
その背後に音もなく現れるのは第一段階の転換率と集束率の修行を終えた砕蜂。
彼女は制御訓練が人より進んでいた為、終わった後は他より早く転換率と集束率の修行に進んでいたのだ。
勿論、玲が居ないと制御装置は制御装置のままなので、先行組で休憩している者から演算装置を借りながら。
「た、隊長…?いや、あのこれは…」
「問答無用!尽敵螫殺”雀蜂”」
弐撃決殺の死の刃を滝の様な冷や汗を流しながら交わす大前田は、自隊の隊長が玲を気に入っている事をこの時初めて記憶に刻み込んだのだった。
「はぁ…如何して私が今更鬼道演習など…」
ぶつぶつと文句を言いつつ、詠唱する涅の鬼道は、未だ的まで半分も飛びはしない。
どれ程間に張ってある結界を解析して裏をかいてやろうと思った事か。
けれど、何の機材も用意出来ないこの場所で、未知のものを解析できる程、涅も万能ではなく。
「ネム。とっとと転換率と集束率とやらを100に上げて、彼奴から耳飾りを奪って来い!そうすれば此処にもう用など無いのだからね!」
「はい、マユリ様」
十二番隊の主従はこんな時でもいつも通りだった。
その目論見を耳にした元流斎が、その後涅をこってり絞り倒したのは言うまでも無い。
「だぁあああ!なんでこの俺が!一番苦手な鬼道なんかやらなきゃなんねぇんだ!」
つるっ禿げの頭を掻きむしって、三十番代の鬼道もまともに撃てない一角が叫ぶ。
「叫ぶと美しく無いよ、一角。斬魄刀の威力も変わると総隊長が言ってたろう?」
やれやれと肩を落としながらも、弓親も飽きてきた様だ。
「だからって!こんな変な数字見せられても実感ねぇんだよ!」
「そうか…出来ねぇってのか?一角。この俺が、元々鬼道なんざ使った事もねぇ俺が、やってるってのによぉ…あぁ?」
低い低い声が響く。
其処にはストレス溜まりまくって般若と化した更木剣八。
「たたたたた隊長!!」
「あぁ?!」
八つ当たりに等しいそれは、その場に深い深い斬撃の亀裂を残した。
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