Chapter12 〜葛藤〜

「おい、松本」
「あ、隊長。すぐ返しますから」
そんな会話の後、攫われるように連れて来られたのは、副官達が集まる席で。
「で?玲。隊長の事好きなの?」
あ、と桃が焦った様に声を上げるも、もう遅い。
周りの視線は此方に集中してしまっているし、もう二度と拒絶などさせないから。
大丈夫と言う意味を込めて、桃に少し笑うと、ホッとした様に息を吐く姿が目に映る。
「その好きは、愛情?恋情?それとも好意?」
わざとそんな事を聞くのは、まだ前の二つが分からないから。
傷ついて欲しくないと思う。
触れられれば暖かい。
そばに居て安堵する。
けれどそれは白哉も同じで。
愛というものがたった一つなら、私の心を定義出来ない。
私の問いに困った様な顔をする乱菊に、くすと笑って手を伸ばす。
「皆、好きだよ。重さは違うけど、形は違わない」
ふわりと手入れの行き届いた綺麗な肌に触れると。
「玲!あんた私と付き合っちゃいましょ!」
ぎゅむと抱きしめられて、柔らかい胸に押し付けられる。
普通に窒息する。
「乱菊さん!玲ちゃん死んじゃう!」
「そうだ、離せ!玲は私が貰う!」
何処からか聞き覚えのある声が乱入して来て乱菊から引き剥がされ、取り敢えず呼吸は許される。
「何ですか、砕蜂隊長。嫉妬ですか?」
「その様な汚らしい物持ってはおらん」
「独占欲って言うんですよ、それ」
きょとんとして、顔を横へ向ければ、少し顔を赤らめて怒鳴る砕蜂の姿。
暫く会ってなかったから寂しかったんだろうか。
慰めてあげたいのは山々だけど、今何かすると更に悪化しそうだ。
「お前、女でも堕とせんのな」
「…何の話?」
するりと砕蜂の腕を抜け出して、ルキアの隣に落ち着くと、恋次にジト目で睨まれた。
「こら恋次。玲に喧嘩を売るなら私が買うぞ」
「ルキアなんか格好いい」
守られる様な立場では無いけれど。
その言葉が何処か嬉しかったので、微笑んでおいた。
「あんな女も居るんだな」
「…檜佐木さん、首突っ込まなくて良いんですか」
「なら吉良。お前行けるか?」
「無理です」
近くでひそひそ交わされる会話は微妙に聞こえてたりするのだけれど。
ややこしくなりそうだったので突っ込まないでおいた。
取り敢えず、今日も死神達は、元気そうだ。
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