Chapter12 〜葛藤〜





ふと目を覚ますと、白哉の腕の中で。

そっと視線を上げると、彼はまだ眠っていて。

日が差さない此処では、皆体感時間が狂う事は前の修行で分かってる。

何時も自分より先に起きている彼が、寝息を立てている様が珍しくて。

いつもの様な厳しさを纏っていない寝顔は、女性に見えるくらい綺麗で、あどけない。

また、ちくりと痛む胸に気付かないふりをして、そっと腕を抜け出す。

識る事は怖い事だと少し思う。

だって、こんな無防備な白哉を見ても、以前の様に悪戯に触れる事さえ躊躇ってしまう。

気配も霊圧も消し去って、そっと離れようとすると、袖を掴まれて引き戻される。


「白哉、起きて…きゃぁ!」


体制を崩して倒れ込んだのは、彼の胸の上。

ぱっと身体を起こそうとするも、抱き込まれて行動不能に。


「白哉?」


不可解な行動に理由を求めて視線を上げると、何処か不安気な瞳と目が合った。

けれど、彼は何も言わない。

只、力強く抱き締める腕は、何処か所在なさ気で。

私はさらりと彼の髪を撫でた。

彼がいつもの冷静で不遜で感情の読めない瞳に戻るまで。

柔らかい髪を撫で続ける。

何処か、壊れてしまいそうな彼の雰囲気に飲まれそうになりながら。


「落ち着いた?」


少し腕の力が弱くなった彼を見上げる。

前の様に、簡単に大丈夫と、言えなくなった自分に、心を痛めながら。


「あぁ…済まぬ」


その謝罪に、また胸が軋んだ。


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