Chapter13 〜神威〜






「さて、瑞稀玲よ。どう説明するつもりかの」


ごごごと炎を纏い、怒りを露わにする元流斎に、くすと笑みを返す。


「お爺様。ちゃんと説明するから、少し落ち着いて?」


怪訝そうに眉を顰めながら、炎を納める元流斎に、私は目配せする。

その意味に気付いて、ため息と共に頷き、副官の雀部を下がらせて、具現化状態の流刃若火を戻してくれる彼。


「今回の破面との接触で、懐柔可能と判断したの。彼等が藍染に従うのは、藍染が破面の誰よりも強いからよ。
彼等が私を藍染より強いと認めれば、大抵の破面は敵になり得ない。
それどころか力を貸してくれる」


私の説明に彼は渋面を作る。

死神に取って、破面は虚と同一。

受け入れ難いのも無理は無い。


「つまり、破面がお主に隷属を誓ったと、そういう事か」


「隷属なんてさせて無いよ。私は協力してくれる?って頼んだだけだもの。でも、内側からの敵を崩せるのは理でしょう?」


彼女の頼みが只の頼みで無い事ぐらいは予想はつくのだろうが。

元流斎はまだ、納得の行かない顔をしている。


「其奴らが裏切らぬ可能性は無かろう」


「大丈夫。彼等に通信機を渡したのだけれど。
それに心の内まで見透せる石を付けておいたから。
もし心変わりしたなら、事前に分かるから問題無いよ」


これは少し嘘。

心を見透せる石など付けてはいない。

けれど。
神力に充てられた彼等が、私を裏切る事は恐らくあり得ないから。


「…ならば良い。もう言うまいて。
それとの、今回の件で先遣隊を組み、現世へ派遣する事になったのじゃが、お主はどうする」


「それは行ってもいいって事?」


「修行は粗方終わっておる。
後は副官以下の卍解の修行のみじゃが、こればかりは習得出来るか出来ぬかは当人の資質に関わる物。お主がどこに居ようと関係あるまい」


「そう。じゃあ行かせてもらうよ。現世では手回ししたいこと色々あるから」


少し機嫌よく答えると、元流斎は深い溜息を吐いた。


「報告は怠るで無いぞ」


「お爺様にはちゃんと言うよ。但し、他の死神には誰にも言わないで。敵を騙すにはまず味方から。基本でしょ?」


「分かっておる。儂としてもこの様な所業を見逃したとあっては立つ瀬が無いわ」


そうは言いつつ、上手く手を回してくれるんだろうなと私は少し笑う。

何処か、余裕が出てきた気がするのは、力が付いたからだろうか。

ありがとうと呟いて、私は任務の為に準備に掛かる。

と言っても、現世で着るのは洋服だし、此方のお金を換金して貰う事ぐらいしかすることは無いのだけれど。


少し白哉の所に顔を出して、先遣隊に志願した事を話すと、恋次の前にも関わらず、腕の中に閉じ込められた。


「三日に一度は顔を出せ」


少し無茶な事を言う白哉を見上げると、その寂しげに揺れる瞳に反論する気すら失せて。


「分かったよ。お土産、買って来るから」


宥める様に頭を撫でて、その腕をすり抜ける。

驚愕と絶望の入り混じった顔で固まる恋次に軽く手を振って。

私は其処を後にした。


「…隊長…熱でもあるんスか」


「記憶を、消されたい様だな」


その後、六番隊隊主室からは絶叫が響き渡ったと言う。


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