Chapter14 〜仮初〜

「ただいま」
戻って来た玲の霊圧がかなり下がっている事に気付いて、俺は目を見開いた。
「玲、お前…何して来たんだ」
「一護の様子、見てきたの」
全く感じられなかった黒崎の霊圧。
それが先刻一瞬だけ、感じられた。
それは此奴が其処に出入りしたからって事か。
「彼奴は、何処にいるんだ?」
その問いに、玲は首を振る。
言えないという事か。
「何でだ」
「虚化の制御なんて、分かるのは同じ境遇の人だけだよ。彼等にただの死神が接触したって、敵と見做されるだけ」
確かにそうかも知れないが…それはお前もそうじゃ無いのか。
そう、問いたかったが、一度口を閉じる。
「そいつ等にやられたからこうなったのか」
他の疑問を口にすると、玲はくすと笑った。
「まさか。一護の霊圧、上げてきたの。ちょっと無茶させて暴発したから相殺に霊力使っただけだよ」
「…そうか」
もう立つのも辛そうな玲を抱き上げて、ベッドに寝かせる。
此奴の限定霊印の限定率は九割。
元々霊圧が強い分、俺達よりも限定率は一割高い。
その分、普段通りに力を使うと、疲れるのだろう。
あっという間に眠りに落ちた玲を見つめながら、ふと溜息を吐く。
此奴が何をしたいのか、今は全く分からない。
ここ最近、現世に来てからはふらっと居なくなるし、何も話してはくれない。
疑ってなどいない。が…不安にはなるのだ。
此奴が居なくなってしまいそうな、不安。
いつか、拒絶されてしまうのでは無いかという恐れ。
その恐怖のせいで、深く踏み込めない。
情けないなとまた、溜息を吐く。
ベランダに出て、空を見上げる。
こんな時に限って、伝令神機も鳴らない。
任務でもあれば、気が紛れるんだがなどと、また情けないことを考えながら、俺は曇った夜空を見上げた。
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