Chapter14 〜仮初〜





翌日。

瀞霊廷内六番隊隊主は不機嫌だった。

玲達が現世に赴いてから四日。

もう四日経っているのだ。

三日に一度は戻ってこいと言った彼女が戻らぬ事が、不機嫌の最たる理由であろう事は疑う余地など無い。

発露されている霊圧が、何処となく形を持っている様に見えるのだから、最悪だった。

それはもう、隊士達が涙目になって、失礼を承知で逃げ出すぐらいには…荒れていた。


「…現世に行ってくる」


「は…はいぃ!!」


こうして、穿界門を潜り、朽木白哉は現世に降りた。

きっちり休暇の届けを出して。


現世に着いて、霊子の薄いそこで玲の霊圧を探るも、全く感知できない。


何故だ。

何かあったのか?

言い知れぬ不安を胸に、白哉は冬獅郎霊圧を辿って其方に向かった。

義骸に入って、ホテルの受付で日番谷冬獅郎の名を告げる。


「お客様でしょうか」


「用があって来た。取り次いでくれ」


「あの、申し訳ありませんが、セキュリティの都合上、此方でのお取り次ぎは致しかねるのですが…」


「…出来ぬと申すか」


「す、すみません!」


睨み付けると、ガタガタと震えだす受付の女に嘆息していると、エレベーターの扉が開いて、呆れ顔の冬獅郎が現れた。

霊圧でも探ったのだろう。


「朽木、殺気放つなよ。びびってんだろ…」


小さく溜息を吐いた冬獅郎は、受付を通り過ぎ、ロビーへ向かう。

此処に来て数日の彼は、思いの外現世に馴染んでいた。


「玲は何処にいる」


「知らねぇよ。今日は追ってやろうかと思ったんだが…彼奴、義骸に入ったまま瞬歩使いやがった」


「…余程知られたくないという事か」


「…いや、話は聞いてる。場所が割れるのが困るんだろ」


そんな事を呟きつつ、珈琲を啜る冬獅郎。

白哉は、その見慣れぬ黒い液体を睨み付けていた。


「何と言っていた」


取り敢えず冬獅郎が飲んでいるのならば毒ではなかろうと、口を付けて…噎せる。


「…黒崎のとこだ。彼奴に虚の制御を教えてる連中が居るらしい」


珈琲を睨み付けて眉根を寄せる白哉に、冬獅郎は砂糖とミルクを指すも。

そう言えば彼も甘い物は苦手だったかと紅茶を頼み直す。


「…其奴らに会いに行っているという事か」


「だろうな」


ウエイトレスが持って来た紅茶を冬獅郎が受け取り、白哉の方へ押しやると、彼はそれを黙って受け取る。


「…この黒い飲み物は何だ」


「珈琲だとよ。慣れると旨いぞ」


「…私は好かぬ」


「…だろうな」


その後沈黙を守ったまま、珈琲と紅茶を嗜む彼等は、その容姿故か、周囲にあらぬ誤解を招いていた。


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