Chapter14 〜仮初〜

それから数日。
今日は何処にも行く予定が無いのか、朝からごろごろしていた玲が、ぱっと身体を起こした。
「冬獅郎、暇」
そして投げられる暇宣言。
尸魂界で多忙な俺としては非常に有難いのだが、此奴にとっては苦痛以外の何でも無いらしい。
「何処に行きたいんだ?」
「ん〜…買い物したし、遊園地行ったし、映画も見たし」
「いつ、誰とだ」
苛立ちを抑えながら問うと、玲はきょとんとしながら答えた。
「遊園地は白哉と三日前、買い物と映画は織姫と一昨日」
三日前は兎も角、一昨日は伝令神機が鳴りまくっていたはずだ。
此奴は先日現れた破面擬と俺たちがやりあっている間、呑気に遊んでいたらしい。
「…総隊長に報告するぞ」
「自分でしてるよ?毎日」
さも当然の様に返してくる玲に、俺は深く溜息を吐いた。
という事は何か。
此奴の自由奔放さは総隊長のお墨付きという訳か。
ずんと気が重くなるも、松本の様に怒鳴りつけることが出来ない自分が恨めしい。
「はぁ…で、どうしたいんだ」
再び問うと、玲は少し考えて、近くの雑誌を手に取った。
それは此方で言うスポーツ雑誌だ。
「身体動かしたいな」
「二人で出来るスポーツなんであったか?」
考える様に、ぱらぱらと雑誌を巡っていた玲が、あと一つのページで目を留めた。
「テニスなら、出来るね。楽しそうだし」
「道具は」
「創る」
「場所は」
「借りる」
即答する玲に、俺は穏やかな休暇を諦めた。
どうせ伝令神機片手に肩肘張ってるのなら、何やってても同じ事だ。
「なら行くぞ」
「うん!あれ、冬獅郎、テニス出来るの?」
「知ってはいる。実際やった事はねぇがな」
告げると、玲は嬉しそうに笑った。
一時、現世の球技に興味を持って、調べておいて良かったと思う。
いつの間にか用意されたラケットの入ったバッグを肩に掛けつつ、ホテルを出る。
受付に聞いて見ると、そう遠く無い場所にコートがある様で、そこへと足を向けた。
- 228 -
<*前><次#>
栞を挿む
ALICE+