Chapter15 〜胎動〜

「はい。取り敢えず此処の一日を外の一時間にした。茶渡君は耐えられるだろうけど、雨ちゃんとじん太君は少しキツイだろうから一日預かってあげる。明日の夜までに、仕事終わらせてよね」
「え、もう出来たんすか?時間って理っすよ?弄るのにもうちょっとなんかあっても…」
「その理は誰が創るの」
「…科学者がこんな事言いたく無いっすけど…神っすかね?」
「その神が自分の創った理を書き換えるのに、時間が必要?」
「…へ?」
ぽかんと馬鹿みたいに口を開けている浦原を置いて、障子の隙間から覗いていた雨とじん太を手招く。
大人しく側に来た子供達と手を繋いで、立ち上がる。
「じゃ、頑張ってね」
そう言葉を投げるついでに、彼と夜一、鉄裁の分の潜在霊力制御装置と、霊子変換収束機を渡し、使い方をその額に触れることで直接書き込む。
「うっわ…!はっ!ちょっと待ってください、瑞稀さん!説明して下さいよ〜」
「明日ね」
「そんなぁ!僕にとっては一月後っすよ〜」
「そのままの意味よ。じゃ、鉄裁さん、お茶ご馳走様」
「いえ、お気を付けて」
「うむ、其奴らを頼むぞ」
「はぁい」
半泣きの下駄帽子男を放置して、そんな会話をしてから、店を出る。
外はすっかり暗くなっていた。
ブレスレットとピアスを渡したのは、どうせ彼のことだ。
2週間もあれば仕事は済ませてしまうだろう。
その後暇になるのは目に見えていたからだった。
「あの…」
おずおずと、女の子の雨が見上げてくる。
やんちゃそうな男の子は、ふいと顔を背けていた。
「どうしたの?」
「お姉さん、死神さん、ですよね…何処に住んでるんですか…?」
「あぁ、近くにね、ホテル借りてるの。相部屋の人が居るけど、優しいから大丈夫だよ」
「誰が優しいって?」
低い声と共に現れた銀髪翡翠眼の青年は、何処からどう見ても不機嫌そうで。
「…お前、チビっこ隊長か?!なんでそんなデカくなってんだ?!」
顔を背けていたじん太が、冬獅郎に食い付く。
「誰がチビっこだ!氷漬けにするぞ!」
「だって前まで俺と身長変わらなかったじゃねぇか!なぁなぁ、どうやって大きくなったんだよ!」
「煩ぇ!俺はお前と違ってもう何十年も生きてんだよ!何時までもチビな訳ねぇだろ!」
何だかんだ言い合いながらも、冬獅郎は子供のじん太を気遣っている。
この分だと大丈夫そうだなと微笑んで、怒鳴り声に小さくなっている雨を抱き上げた。
「ほら冬獅郎、じん太君置いてくよ〜」
「待て、玲。此奴ら如何するつもりだ」
「一日預かるんだよ?」
「何処でだ」
「うん?ホテルで」
当たり前でしょ?という風に冬獅郎を見れば、彼はがくりと疲れた様に肩を落とす。
「せめて経緯を説明しろよ…」
まだ絡んでくるじん太を片手であしらいながら、
問うて来る彼に、事の経緯を掻い摘んで説明しながら、じん太の歩幅に合わせてゆっくり歩く。
周りの視線が何処と無く暖かいのは、子供連れだからだろうか。
反抗的な男の子と、大人しく抱かれている女の子に微笑みながら。
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