Chapter15 〜胎動〜

虚圏、虚夜宮内6十刃の自宮にて。
浅葱の髪と瞳の男は、窓からぼうっと空を眺めていた。
藍染が作った天蓋の下では、日が昇り、月が昇る。
つまり、現世と同じ様に、昼夜がわかる様になっているのだ。
そして今は夜。
それも、丸い月が真上まで昇った深夜。
「どうかしちまったのか、俺…」
相手は眠っていると分かっているのに、ブレスレットに手が伸びる。
逢いたい。
声が聴きたい。
せめて、自分に気づいて欲しい。
このどうし様も無い、訳のわからない感情の名を、教えて欲しい。
殆ど会話らしい会話もしていないあの女の顔が頭をチラついて離れない。
力で抑えつけられただけだと思った。
あの女にとって、自分は只の駒なのだと思っていた。
最初は。
然し、渡されたブレスレットには、新しい力を御する機能だけでなく、通信機能や即死防御の結界、複雑な転移の術式までも刻まれていて。
あの女が自分達を見捨てるつもりは無いのだと、馬鹿な俺にでも分かった。
何でこんなもんを付けたのか。
破面の俺たちを、見捨てずにどうするのか。
死神側に付いているはずのあの女に聞いてみたかった。
けど、ウルキオラが、現世に行くのなら、通信で伝えてから行けと言うんだ。
でないと死神に探知されて、あの女に迷惑が掛かると。
出来れば困らせたくはねぇ。
けど、ウルキオラが、あの女に会ってきたと聞いて、訳のわからない苛立ちが収まらねぇ。
まだ日は昇らねぇのかと、深い溜息を吐いた。
従属官が皆死んだ自宮には俺一人。
だが、そんな事は全く気にならなかった。
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