Chapter15 〜胎動〜

遊園地で。
いの一番にジェットコースターに乗って。
冬獅郎が乗り物酔いして。
看病して。
子供の様な氷輪丸を諌めつつ、子供達でも乗れる乗り物に並んで。
ソフトクリーム食べて。
パレードを見て。
あっという間に日が暮れた。
窓辺から上がる花火を見ながら、少し豪華な夕飯を食べて。
少しだけ、お酒を飲んで。
子供達をお店に連れて帰ると、げっそりとした浦原さんが出て来て。
それでもきっちり上がっている霊圧を確認してブレスレットに制御機能も追加して、時空の歪みを解除して。
丁度三日目だったから、白哉に顔を見せに尸魂界へ戻って。
冬獅郎が報告に行っている間、少しだけ白哉と話して、現世へ戻って来たのは夜半過ぎ。
「…ちょっと…疲れたな」
溜息交じりのその言葉に、今日ばかりは同意する。
子供の相手をするのが、あれほど体力を使うなんて考えても居なかった。
斬魄刀である氷輪丸だって、経験は冬獅郎と同じか、それより長く生きているのかもしれないけれど。
現世に於いては大きな子供と大差無くて。
「…そだね」
その氷輪丸は、今は斬魄刀に戻っている。
遊園地を出た辺りで、堪えられなくなった冬獅郎が戻したのだ。
お陰で義骸が打っ倒れて、周りが騒然としたのは言うまでもない。
ホテルの近くで義骸に入って、部屋に戻る。
因みに私と冬獅郎の義骸は、浦原さん作の携帯用義骸を少し改良した物。
抜ければ勝手に人目のつかない場所に行って、小さな珠になって主人の側に戻って来る優れもの。
私が使う空間転移は、時空間に一切の異変を来さないことから、総隊長も黙認してくれているし。
元々時間操作を高頻度で使う私に、今更禁術がどうのと文句を言う人は居ない。
部屋に戻ってさっさとシャワーを浴びて。
ベッドに倒れ込むと、冬獅郎に呆れられる。
「お前なぁ…」
「ん?」
顔を上げて首を傾げると、深い溜息が降ってきて。
同時に温もりに包まれる。
「ねぇ、冬獅郎」
「何だ」
「ありがと」
呟くと、苦しい程に抱き締められた。
今はまだ此処に居る。
そう知らしめてくれる腕が切なくて。
胸がぎゅっと締め付けられた。
「玲、何処にも、行くなよ」
そんな懇願に近い掠れた声に。
私は只頷くしか出来なかった。
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