Chapter16 〜虚圏〜





一番隊隊主室を出た私は、十番隊隊主室で、溜まりに溜まった書類整理を手伝い、
九番隊の書類倉庫を粗方片して。

白哉の屋敷でお風呂に入って美味しい夕食をご馳走になって。
小さく溜息を吐いた。


「どうした。其方らしくもない」


私の表情を読み取った白哉が、書物を閉じて筆を置いた。


「公務は、終わったの?」


「…無論だ。其方が居ない間、する事が無かったからな」


「ごめん、ね」


「何に対しての謝罪だ」


的確な彼の言葉に、苦笑する。


「全部、かな」


呟いた途端、強く抱き締められた。


「その様な事を言うな」


暖かい温もりに、躊躇いながらも手をまわす。

最後、だなんて、考えたく無いけど。

多分もう、そんなに時間は残されていない。

分かってるんだ。

藍染を倒し、崩玉を砕けば、私が此処に居る必要は無くなる。

どんな事象も選択できる泡沫の力が有っても、それだけは避けようの無い現実なんだ。


「白哉…ありがとね」


「何を…」


「心をくれて、側に居てくれて、愛情をくれて。
ありがとう」


「玲…?」


目を閉じると、一護と滅却師、茶渡が虚圏に着いた事を世界が情報として教えてくれる。

そして、藍染がウルキオラを疑っている事も。

早く行かないと彼が危ない。

それに…彼等が仕込んでくれた反膜の匪も、爆破珠も、私が行って発動させないと、意味が無いのだから。


「白哉。私、行かなきゃ行けないの」


「何処にだ」


「虚圏、だよ」


ブレスレットに触れて、抑制率を下げる。


「何を言って…「ごめんね」


瞳に霊力を宿して、目を合わせる。

白伏。

自分よりも霊圧の低い相手を昏倒させる術。

今の白哉を昏倒させるには、抑制率をゼロにしないと出来ないけれど。

ふっと意識を失った白哉を受け止めて、布団に寝かせる。

ちゃんと布団を掛けてから、そっと彼の髪を梳いた。

怒るかもしれないな…なんて思いながら。


空間転移を発動させる。

神力を持つ私に、世界の隔たりなんて関係無い。

同じ時間軸で動いている世界なら、そう力も使わずに移動できる。


転移先をウルキオラの自宮に指定して。

私は尸魂界から消えた。


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