Chapter16 〜虚圏〜

「…来たか」
ふっと顔を上げて、ウルキオラが呟いた。
「あれ、霊圧も気配も神力も消しといたのに」
「幾ら察知要素を消し去ろうと、これだけ近くで時空が歪めば、誰でも気付く」
「そっか」
くすくすと笑う玲に、大きな目を更にまん丸にして口をぱくぱくさせている少女が一人。
「え?え?!えええ〜?!!」
「黙れ女。藍染に気取られる」
冷たい声音で織姫を諌めるウルキオラ。
「えっと、あっ、そっか。でも今藍染、って…?」
「俺が従うのはこの女だ。藍染では無い」
彼のこの女と言う発言がいい加減気に掛かる玲だったが、今は取り敢えず黙っておいた。
「うん、まぁそういう事だから、ウルキオラは安全だよ、織姫」
「そ、そう…なんだ。でも、黒崎君達が…」
「大丈夫。今の一護なら、殆どの十刃には勝てるから」
「殆ど…?」
「ウルキオラとグリムジョーにはまだ無理かな…」
「そうか。ならば消して…「どうしてそうなるの」」
「…つまらんからだ」
「ウルキオラ…もう少し、我慢してよ」
「ならば、少し此方に来い」
目を瞬かせながら玲がウルキオラの側に寄る。
そのままぐいと腕を引かれ、ウルキオラに口付けられる玲を見て、織姫は真っ赤になりながら口をぱくぱくさせていた。
「ウルキオラ…どうしたの?」
「どうもしない。…興味があっただけだ」
こんな時すら眉一つ動かさない彼に、玲は小さく溜息を吐く。
「あぁ、もう。兎に角、織姫。グリムジョーも大丈夫だし、この部屋には結界張っとくから、安心してね」
「えぇ?!でも…」
「ごめんね、巻き込んで。でも、少しだけ…演技に付き合ってくれると嬉しいな」
「えっと…うん、分かった」
「ありがとう。じゃあまた明日来るね」
「はぁい!」
何時もの明るい笑顔が戻った織姫に、笑顔を返し、結界を張ってウルキオラの自室へ向かった。
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