Chapter16 〜虚圏〜

目を覚ますと、何時もと違う人の香り。
何時もと違う温もり。
そんな些細な事にも軋む胸を押さえて、身体を起こす。
神力が戻っても、やっぱり一人じゃ寝れなくて。
彼等は、情けないなと笑いながらも、ずっと一緒に寝てくれた。
そんな優しさが、今は胸を締め付ける。
深呼吸して、波立つ心を鎮め、一護達の位置を探る。
其処に、ルキアと恋次の霊圧を感じて微笑んだ。
このまま此方に向かえば、今日の昼にでもこの虚夜宮に着くだろう。
それまでにやる事は沢山ある。
「…これから、如何するつもりだ」
起きていたらしいウルキオラが、声を発して。
少し驚いて振り返る。
「今日辺り、召集あるでしょ?」
「…あるだろうな。侵入者が虚圏に入ったと報せを受けている」
「そこに、連れてってくれる?」
告げると、翠玉の瞳が僅かに開く。
けれど、表情は全く変わらない。
白哉以上の鉄面皮だ。
「…戦うのか」
「まさか。まだ、誰とも戦わないよ」
「…分かった」
深く聞かずに頷いてくれるウルキオラに、少し笑って。
窓から空を見上げる。
作り物の青空は、雲が不自然に流れる。
変な、気分だった。
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