Chapter16 〜虚圏〜





その頃。

尸魂界は朝から大騒ぎだった。


「朽木!玲が消えたって、本当か?!」


様々な憶測が飛び交う中、冬獅郎は最後まで玲と居たであろう白哉が居る六番隊隊主室へ駆け込んだ。


「…あぁ。事実だ」


「お前、一緒に居たんだろ?」


「…昏倒させられた。白伏だ」


「…そう、か」


翡翠の瞳が大きく揺れ、やがて悔いるかの様に伏せられたのを見て、白哉は恋次に手で合図を送った。

即ち、出て行けと。

ぽかんと口を開いた恋次だが、白哉に睨まれて部屋を飛び出す。


「兄は何か、知っているのだな」


確信を持って問う白哉に、冬獅郎は一瞬躊躇いを見せたが、口を開く。


「……現世駐在中、玲が破面と接触していた」


「何だと?」


思いもよらない冬獅郎の言葉に、白哉の纏う空気が冷える。


「彼奴は味方だと言っていたが。現に俺が近付いても敵意一つ見せなかった」


「だから、黙っていたと?」


「いや、彼奴が内緒だとか言ってたからだ」


それなのに面倒な事になったと、頭を掻く冬獅郎は、白哉の殺気を軽く受け流している。


「…行くぞ」


「何処に」


「総隊長に指示を仰ぐ」


「彼奴は、総隊長には報告してるって言ってたぞ」


立ち上がった白哉が、そのまま固まる。

冬獅郎は溜息を吐きながら、長椅子に腰を下ろした。


「ならば、この事は総隊長に認可された上だという事か」


「そういう事だろ。何考えてんだ、あの爺…」


「口の利き方に気を付けろ」


「チッ…」


面倒臭そうに、舌打ちをする冬獅郎の元に、ふわりと地獄蝶が舞う。

それを指に止めると、丁度今話題に上がっていた総隊長からの召集だった。


「俺と朽木が一緒に居るのもお見通しってか…」


地獄蝶からの伝言に、また溜息を漏らした冬獅郎は、白哉に視線を向ける。


「今すぐ来いだとよ。俺とお前だけ名指しでな」


「そうか」


頷いて、歩き出す白哉と、それを追う冬獅郎。

一番隊へと向かう道すがらには、地獄蝶が飛び交っていた。

それは恐らく、騒ぎ収束の為の伝令。

総隊長も、やけに玲の肩を持つな。

落ち着きを取り戻す死神達を見て、冬獅郎はふとそんな事を思った。


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