Chapter16 〜虚圏〜

会議の後、虚夜宮で、十刃落ち及び十刃の従属官複数人が、消息を絶った。
それと同時に、回廊操作のメインシステムが電波障害でダウンした。
そんな大事が起きとるいうのに、藍染は何の反応も示さへん。
東仙すら、何の疑問も抱いて無い。
他の十刃かて平然としとる。
まるで、洗脳でもされたみたいに。
困惑しとる僕の前に、濡羽色の綺麗な髪が揺れた。
見た子も無い綺麗な顔立ちの子。
一目で、この主犯やて分かった。
「…随分大胆なんやねぇ」
声掛けると、その子は綺麗な顔を綻ばせて笑う。
「大丈夫。誰も、気付かないよ。少し話しない?市丸ギンさん?」
咄嗟に斬魄刀に手を掛けた。
けど、ふと目の前のその子が消えて、僕の手を抑える。
「私は貴方の敵じゃ無いよ」
「根拠は何や」
「乱菊の、友達だから」
その言葉で、僕は力を緩めた。
緩めてしもたんや。
その子の琥珀の瞳があんまり真剣に僕を見据えるから。
「何で名前知っとん。僕の記憶、起こしたんも君やね?」
「そうだよ。でも先ずは、場所移そ?」
肯定しつつ、安心させる様に笑うその子から、不思議な力を感じた、思たら、違う場所に転移しとった。
「…此処、僕の部屋やないの」
窓をカーテンで塞いだ部屋。
青空遮るんは、藍染に気取られるんやないかって気が気やないから。
必要なもん以外何も置いてない其処は、いつ出て行くことになっても何も思わんで済む様にしとるから。
「そうだよ。此処なら、何の違和感も抱かせずに貴方と話せる」
「それや。何で藍染隊長も要も十刃も、何も反応せんねや?従属官が消息絶ったら、少なくとも十刃は何か言うやろ」
「鏡華水月の完全催眠、だよ」
「…君、何言うてんの」
「さっき、藍染の鏡華水月を乗っ取った。もうあの斬魄刀は、彼のものじゃ無い」
この子の言葉に、背筋が凍る。
確かに、あれが鏡華水月の力や言うんやったら、違和感だらけのこの場所で、皆が普通に動くんも納得出来る。
けど、そんな事が、ほんまに出来るんか?
斬魄刀は死神の魂の一部。
他の者に操れる様なもんやないはずや。
「この世界の常識、理、境界。全て、創った者が居るはずよね」
穏やかに、微笑む恐ろしく綺麗なその子が、桁外れの力を持っとる。
それだけは取り敢えず理解出来た。
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