Chapter16 〜虚圏〜

「それで、僕にそっち付け言う事なんやね」
大体の話は分かった。
この子の言うてる事は僕にとって都合の良い事ばっかり。
まるで利用せえ言うてるみたいや。
それに、本来の目的やった乱菊の魂も元に戻ったんやったら、僕が此処におる意味はもう無い。
「どちらかと言うと、お願い、かな?」
首を傾げながらそう告げるこの子はほんまに可愛い。
綺麗過ぎて、無邪気過ぎて、刀向ける気も起きひん。
乱菊とは違う、何も知らん純真無垢な者が持つ、触れる事さえ躊躇わせる様な玲瓏さ。
それと同時に、どうやっても敵わんと思わせる次元の違う霊圧。
そんなんで、お願い言うんやから、おかしなもんや。
「それ、殆ど命令やないの」
「え?あ。霊圧の抑制外れてた!」
その子が慌てて左腕のブレスレットに触れると、霊圧が殆ど察知出来ない程に低くなる。
気配も、霊圧も、何もかも。
「分かったわ。ええよ、乗ったる。君の作戦」
「本当?」
「そん代わり、偶に遊びに来てや。君可愛いし、僕結構好みやねん」
いつもの様に口角を上げて手を伸ばすと、横から別の手で止められてもた。
「話は、終わったか」
現れたのはウルキオラ。
まさか彼までこの子に付いとったやなんて。
ウルキオラは藍染隊長のお気に入りやった筈やけど。
「君もその子に付いてるん?いつから?」
「貴様には関係ない」
「えらい口調変わったなぁ…それが地なん?」
「此奴に触るな。塵が」
え、まさか惚れてるんか?
あのウルキオラが?
冗談キツイわぁ…。
僕も結構気になんのに。
「えらいご執心なんやなぁ。まぁええわ。あ、君名前は?」
「え?あ、ごめんね、遅くなって。瑞稀玲だよ。宜しくね」
「玲ちゃんやね。宜しゅう」
「女。こんな奴と宜しくするな」
えらい警戒されてるみたいや。
まぁええわ。
面白いウルキオラも見れたことやし。
「またね、玲ちゃん」
「うん、またね」
ふわりと手を振ってくれようとしたその子は、ウルキオラに抱えられて響転で消えた。
―触れる事も、出来へんか。
なんや、切ないなぁ…。
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