Chapter3 〜特別〜

翌日。
朝食を食べて、死覇装に着替えてから屋敷を出て。
「今日は冬獅郎の処にいるね」
そう、白哉に声を掛けると、何処と無く不服そうに、頷く彼を抱き締めて。
十番隊の隊主室の扉を開く。
少しだけ、嫌な予感を抱きながら。
「玲!」
部屋に入っても、出てきたのは乱菊だけで。
「冬獅郎は?」
そう問いかけると、乱菊はまだ来ていないと言う。
「ちょっと様子見てくるね」
不安そうな彼女にそう言い残して、冬獅郎の部屋に向かうと、廊下から僅かに冷気が漂ってきて。
慌てて彼の部屋に入ると、布団に包まって震えている冬獅郎が目に入った。
「冬獅郎!」
冷気が漏れないように部屋の扉をきちんと閉めて、部屋に結界を張ってから彼の側に飛んでいく。
顔を見ると真っ青で、額に手を当てると高い熱。
すぐ側にある氷輪丸から、凄い冷気を感じて、彼が何をしたのか察した。
「冬獅郎?卍解の修行をしたのね。制御装置は外した?」
そっと彼の身体を天照の発する光で温めながら、問うと、薄っすらと開いた瞳は、否を映した。
「氷輪丸が怒ってるんだよ。その程度の霊圧で、今の自分を制御できるはずが無いって。だから、冬獅郎も寒いの」
少し暖かくなってきたのか、開いた瞳が、驚きで丸くなる。
けれど、まだ口は開けないらしい。
「”氷輪丸”。冷気を鎮めなさい。怒るよ?」
ベッドの側に立て掛けてある斬魄刀を睨み付けると、渦を巻いていた冷気がゆっくりと収まった。
「…いい子。貴方も文句があるなら具象化して話しなさい。出来るでしょう?」
ふわりと浮き上がった龍の残像が、静かに頷いたのを見届けて。
私は冬獅郎に向き直る。
「天照。”癒しの光”」
私が呟くと、手から現れた虹色の光が、冬獅郎を包み込む。
暫くすると、ゆるりと起き上がった冬獅郎に、ふわりと抱き締められた。
「…もう平気?」
問いながら、彼の額に手を当てるが、熱はすっかり下がっていた。
「…悪かった」
呟くような謝罪にふわりと頭を撫でて、抱きしめ返す。
「…後一刻でも遅かったら、手遅れだったかもしれないんだから」
自分で言っておいて、身体が震える。
正直、私も氷輪丸がこんなに怒るとは思ってなかった。
知っていたら、もっときちんと念を押したのに。
「気をつける」
「絶対だよ」
少し離れた彼を見上げると、ふっと唇が重なった。
「…冬獅郎?」
その行動の持つ意味に、まだ気付けない私は、前と同じ様に名を呼ぶことしか出来なくて。
「…いや、悪い。こんな時間か。すぐ行く」
「無理してない?」
「大丈夫だ」
彼の大丈夫を信用してはいけない事は、分かっているのだけれど。
乱菊も心配していたし、彼の顔色も悪くなかったので、私は黙って部屋を出た。
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