Chapter3 〜特別〜





隊主室に入ると、乱菊が何があったのかと聞いてきた。

けれど、本当の事を言う訳にも行かず、風邪で寝込んでいたから治してきたとだけ伝えた。


「玲の斬魄刀、治癒能力があるの?」


「まぁ、そうだね」


きょとんと問い掛けてくる乱菊に曖昧に濁して、私は温かいお茶を淹れた。

それを持って隊主室に戻ったタイミングで冬獅郎が来たのでそれを渡す。


「…悪い」


目を逸らして受け取る彼は何処と無く素っ気なくて。

なんでだろう、と首を傾げてみるも、さっきの事しか思い当たる節は無くて。

私はそっと乱菊の側に寄って、聞いてみると、彼女は目を見開いて私の両肩を掴んだ。


「玲、本当に分からないの?」


「…うん」


しゅんと肩を落として頷く私に、乱菊は哀れみの視線を遠くに投げた。


「隊長が苦労する訳だわ」


「…?」


「玲、良い?それはね…」


乱菊が何かを教えてくれようとした時、私はふっと目眩を感じた。

それと同時に、遠くで何かの咆哮が聞こえて。


「…あ。虚」


「え?」


「なんだと?」


ばっと反応した冬獅郎を見て、私は出現区域を検索する。


「場所は…西流魂街第一地区、潤林安」


その瞬間、冬獅郎の顔色が変わる。


「隊長!地獄蝶はまだ来ていません!」


「分かってる!玲、まだ出てきてねぇんだな?」


その声に、私は再度虚の動きを探知する。


「うん、多分…約十分後」


「俺なら間に合うな」


霊圧が上がった冬獅郎は瞬歩も速くなっている。

今すぐ出ればぎりぎり間に合うだろう。

他の死神じゃ、倍は時間が掛かる。


「私も行くよ」


「わかった。松本、此処に居ろ。地獄蝶が来たら、先に向かったと伝えてくれ」


「…分かりました」


流魂街では斬魄刀の携帯は禁じられていない。

だからか、あっさり引き下がった乱菊にお礼を言って、私と冬獅郎は瞬歩で駆け出した。

取り残された乱菊が、


「嘘。隊長あんなに速かったっけ…?」


そんな疑問を抱いている事には気付かないまま。


- 31 -


<*前><次#>


栞を挿む












ALICE+