Chapter16 〜虚圏〜

その頃、恋次はザエルアポロ・グランツと対峙していた。
攻撃する度、防御する度、戦闘記録としてデータを取られ、それを即座に使用不能にしてくる厄介な相手。
最早卍解もまともに使えない部屋の中で、ボロボロになった恋次は、息を切らせて相手を睨んでいた。
「おやもうお終いかい?なら、出来るだけ綺麗な身体のまま死んでくれ」
狂気的な笑みを浮かべるザエルアポロが、何かのスイッチを押す。
すると、数えるのも億劫な程の妙な姿をした破面が何処からともなく現れた。
「クソ!嫌な戦い方しやがって…」
大声で毒づくも、相手は涼しい顔で切り返してくる。
「馬鹿正直に一対一で戦う程、僕は筋肉馬鹿じゃなくてね。まぁ、馬鹿な君にはそういう戦い方しか出来ないんだろうけど…?」
嫌味なザエルアポロの後ろから、馬鹿みたいな数の破面が押し寄せてくる。
それをどうにか斬りつけるも、始解の状態では数に押されて傷がどんどん増えてゆく。
「クソ。もうちっと霊圧があがりゃあ…ん?霊圧?」
そこでようやっと、恋次は自分の腕に付いている制御ブレスに気付いた。
完璧に忘れていたそれに触れると、抑制率は80パーセント。
ニヤリと、恋次の口角が上がる。
ザエルアポロが不審に思って眉を顰めた瞬間。
恋次の霊圧が爆発的に上昇した。
今まで擦り傷しか与えられなかった敵を、ばさばさと斬り倒す。
霊圧は硬度であり、攻撃力と同義。
それが五倍に上がれば、傷一つ負わせられなかった十刃だろうと…
「斬れると思ったかい?」
恋次がザエルアポロに仕掛けた攻撃は、彼の斬魄刀によって受け止められていた。
「止めたか。けど、前より余裕が無くなってるぜ、そのムカつく面によぉ!」
引き戻すと同時、蛇尾丸に斬魄刀を絡め取るように動かせば、ザエルアポロはそれから逃れる為にその場から飛び退く。
「動いたなぁ?」
恋次はにやりと笑う。
ザエルアポロの額に伝う朱を見て。
「死神風情が…この僕に傷を負わせるなど…」
ザエルアポロの纏う空気が変わった。
従属官は全て斬った。
後は彼奴だけだと意気込む恋次の前で、ザエルアポロが刀剣解放する。
毒々しい紫色の光が治ると、赤い翼のような物を背に、目の色の変わった十刃が居た。
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