Chapter1 〜淫呪




隊主会から十番隊隊主室へ戻ると、松本に思い切り抱きつかれている玲がいた。


「っーーぷは、冬獅郎、助け…きゃっ」


「ほらほら、乱菊って呼ばないとこうよ!ほらこちょこちょこちょ」


「きゃ…っふぁ、あ、や、やめっ」


かなり目に毒な光景に、俺は松本の足元を凍らせて脅す。


「やめろ」


「えー…隊長なんかいつにも増して機嫌悪いですね。せっかく玲が戻ってきたのに」


素直に玲から離れる松本の周囲の氷を払ってから、玲に視線を投げる。

後ろにはウルキオラも一緒だ。


「丁度良い、玲、説明しろ」


「ん、呪いだよ。淫紋って言ってね、触れられると発情する厄介な呪い」


「…………」


飲み込むのに時間がかかってしまった。

その合間に、ウルキオラが玲のそばに寄って、事実かどうか確認しようと手を伸ばしている。


「馬鹿、やめろ!」


とっさに氷の壁で二人を隔てた俺は大きなため息を吐いた。

此奴は無所属死神だ。

今も死覇装に身を包み、松本の側に飛び退ってウルキオラから距離を取っている。

同じ部屋にいる時点でそんな距離はあってないようなものだが。


「ウルキオラ、総隊長の言葉を聞いてなかったのか。命を破れば牢にぶち込まれるぞ?」


「そんなものを俺が恐れるとでも?」


いけしゃあしゃあのウルキオラに、俺はため息と共に斬魄刀の名を呼ぶ。


「…氷輪丸」


「ここに」


すぐさま具現化した魂を持った斬魄刀は、俺の意思に呼応してウルキオラを押さえつけに掛かる。


「…分が悪いか」


鉄面皮のままそう呟いたウルキオラは、氷輪丸の拘束を虚閃を放って無理やり逃れると、瞬歩で姿を眩ましてしまった。


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