Chapter1 〜淫呪




「ったく…」


普段は大人しいウルキオラが玲が戻ったと思ったらこれだ。

あの鉄面皮では何を考えているかなど及びもつかない。

と言うか、ここ一年、俺が修行などで執務を空けている際は勝手にこなしてくれて居たりと、意外とマメだったあの男が。

敵に回ると厄介だなと思いつつ、玲に視線を投げると、どうやら警戒心を解いたようで、松本とまた戯れあって居た。

そういや、副官にはまだ通達が行ってなかったんだったか。

まぁ、相手が女であれば問題ないのであれば、わざわざ言う必要もねぇか。

そう思い、自分の執務机に座る。


「松本。遊ぶのは執務が終わってからにしろ」


「え〜隊長。こんなめでたい日ぐらい仕事サボっても良いじゃないですかぁ〜」


「お前はいつもそうだろうが」


「そうでしたっけ?」


お茶目に戯けて見せる副官の周囲を冷気で覆うと、きゃあと叫びながら自分の机に座った。


「乱菊、それ何?」


「んーお仕事。虚退治とかの戦闘がない時は、下の死神達の報告書の確認とか、いろんな事務処理があるのよ〜…」


「そうなんだ…やってみて?」


仕事を促す玲に、松本は首を傾げながらも報告書にざっと目を通し、記述もれ等がないか確認する。

それに副官印を押して、俺の方へと書類を回してきた。

俺もその書類に目を通す。

不備がないことを確認し、更に状況把握。

増援は必要なさそうなのでそのまま隊長印を押して…


「へぇ、そっか。それは現世に出てる死神さん達のお仕事内容の確認なんだ」


すぐ側で玲の声がして反射的に振り返ると、顔が触れそうな距離に玲の顔があった。


「―っお前なぁ!ちょっとは危機感持て!」


警戒心の欠片も無さそうな玲に昔のように触れてしまいそうになって、声を荒げる。


「ん、冬獅郎なら大丈夫かなって」


「…そう言う問題じゃねぇ。触れること自体がマズいんだろうが。こっちにその気はなくとも肌が触れあう機会ぐらいあるだろ!」


「んー…そう言うのって対象に入るのかどうかまだ分かんないし」


「分かってからじゃ遅ぇだろうが!」


必要以上に声を荒げてしまうのは、無用心に近づいてくる此奴に触れたいと俺が思ってしまうからだ。

警戒心を最大まで引き上げて置いて貰わないと、こっちの自制心が持たない。


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