Chapter1 〜淫呪

「研究途中のものは?」
ここに来た目的を思い出し、喜助に声を掛けると、無視されたと思ったマユリがまたギャイギャイと騒ぎ始めるが、再度無視。
試作段階のものを受け取って、構成を確認する。
足りないものは神の斬魄刀である天照の加護のみ。
それさえ得られれば、私が一つ一つその人に合うように創った隊長格の物と同等のものには流石になり得ないが、一つランクが下がった程度のものには仕上がるだろう。
「天照」
「はい、主人様」
具現化した天照が膝をついて私の後ろに控える。
彼女は神の斬魄刀。
だけれど、私から生まれた斬魄刀でもある。
だから私のいる場所が彼女のいるべき場所なのだ。
幸い、今の世界に創造の力は必要ないと判断されたこともあって、月詠と共に私の斬魄刀のままでいてくれている。
「喜助。この試作品、今どのくらいある?」
「えっと、数は…20程っすね」
「それなら一瞬で済むね。天照、加護を」
「はい」
すぅっと試作品のブレスレットが七色の光に包まれる。
そうするとそれは、一介の死神になら十分すぎる力を与える潜在霊圧制御装置となった。
「霊力演算機能は?」
「いやぁ、そこまでは必要ないかと思いまして。私達でさえ、霊子変換集束機を使って霊子変換補助を受けても集束率と転換率を150一定で放ち続けられる人は少ない。席官ならまだしも、平隊士達には潜在能力の制御でさえ一生掛かる者もいるでしょう。更に上をと声が出ない限り、これで十分だと思うんスよ」
「そっか。じゃあさっきの試作段階の物量産しておいて。予約発注数全部作り終えたらまた声かけて。加護掛けるから」
「そんなぁ、あれ一つ作るのにどれだけ大変だと思ってるんスかぁ?!」
悲鳴を上げる喜助を見て、天照と私の霊力を合算した数値を頭の中で弾き出しつつ、問う。
「形だけなら創ってあげるけど、霊力を込めるのは自分たちでやって。どうにかできるでしょ、技術者なんだから」
「あ、ほんとっスかぁ?いやぁ形だけでも創ってもらえるなら十日程でできると思うっス」
けろりと態度を変える喜助を見て、作るのが難しいのは基盤なのだと理解する。
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