Chapter1 〜淫呪

「…朽木隊長は何で固まってるんすか?」
グリムジョーの隣に座った恋次は、お茶と茶菓子を配りながら首を傾げる。
「…何でもない」
漸く通常運転に戻った白哉と、不思議そうな恋次、したり顔のグリムジョー。
やっぱり彼に聞かせるんじゃなかったかもと後悔しつつ、お茶菓子を口に入れる。
「ん、甘い。美味しい」
実質記憶が全くないので、口に入れたそれが何かもわからなかったが、美味しいと言うことは理解できた。
「…これ朽木の系列の羊羹じゃねぇか」
「当たり前だろ。玲に変なもん食わせられるか。隊長に殺されるだろうが」
グリムジョーと恋次の会話を聞いてこれが羊羹であると言うことを知る。
ほろ苦いお茶とお菓子の相性は抜群だった。
「にしても…不便だなぁ」
「何がだ?」
「あ、ううん。知識が殆どない状態で来ちゃってるから。これが何かも分からなくて」
「…そうか。文字は読めるか?」
「うん、それは乱菊のところで覚えてきた」
「…覚えた、だと?」
「うん、報告書とかに書いてある文字だよね?ざっと見て解析して覚えたよ?」
一瞬白哉が頭の痛そうな顔をしたが、かぶりを振ってそれを払う。
「…そうか。ならばうちの屋敷に来ると良い。少し大きめの書庫がある。好きなだけ読んで知識を付けろ」
「本当?ありがと。じゃあお邪魔するね」
もう日は真上からだいぶ落ちている。
どこに泊まれば良いのか分からない私に取っては、ちょうど良い提案だったのだ。
「っち…」
グリムジョーがなぜか舌打ちしていたが、聞かなかったことにする。
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