Chapter1 〜淫呪

「この辺なら邪魔は入らねぇだろ」
そう言って彼が足を止めた場所は、霊圧が自然にのし掛かって来る少し特殊な場所のようで。
入ってすぐの場所よりも、近付き難い雰囲気を放っていた。
多分奥へ進めば進むほど、霊圧濃度も上がるはず。
今の私にはこの位が丁度よかった。
周りに人の気配も無い。
「うん、ありがと」
「…なんども礼ばっか言ってんじゃねぇよ。ほら、さっさとしろ」
素気無く行って近くの岩に腰を下すグリムジョーを見て、私も霊圧をコントロールし、制御に集中し始める。
とはいえ私は魂自体は神のもの。
そう苦戦することなく100まで霊圧を御しきった私は、目を開ける。
そこにはどことなく嬉しそうに嗤うグリムジョーがいた。
「ねぇグリムジョー。鬼道教えてくれる?」
「…っち。あれは好きじゃねぇんだがな」
そう言いつつも一応身に付けはしているようで。
言霊と番号、術名などを一通り教えてくれた。
取り敢えず詠唱を始めると、発動させようとした方向に拡散結界と的が現れる。
「破道の三十三、蒼火墜」
完全詠唱で放ったそれは、拡散結界を全て突き破り、まとのど真ん中を射抜いて大爆発を起こした。
霧散率と拡散率は−50、転換率と集束率は150。
どうやら普通にこのくらいのことは可能なようだ。
ならばと鬼道の番号を順に上げていく。
九十番代になると流石に転換率が141、集束率は143になったけれど、そこまでの鬼道はほぼ全て150一定で放つことができた。
さっきから威力がどんどん上がる私の鬼道によってこの場所周辺が消し炭になっている。
グリムジョーは適当に霊圧を上げることで防いだのか、その場だけが綺麗に残っていてちょっと感心する。
胡座をかいてその足に頬杖をついてこちらを観察する視線は何か疼きを抑えているように見えて。
「グリムジョー、ちょっと立ち合ってみる?」
そう声を掛けると凶悪な笑みで跳ね起きた。
「なんだぁ?斬魄刀の調子は確かめなくて良いのかよ」
「それは貴方と戦ってみて確かめようかな」
そう軽く挑発すると、腰に下げていた刀を抜いたグリムジョーは一気に距離を詰めてきた。
私も天照を抜いてその剣撃を受け止める。
「霊圧、上げて良いよ。結界多重に貼っといたから」
「へぇ、気が効くじゃねぇか!」
そう叫んでブレスレットの霊圧抑制を解放する。
私も抑制率を徐々に下げながら様子を見る。
「それで全開?」
「あ?舐めんじゃねぇ!」
ごうっと圧を増した霊圧に私も抑制率を20まで下げる。
それでも多分、仮面を出したらゼロにしても敵わないんだろう。
天照の力と合わせてギリギリ対抗できるかどうかってところだ。
何合か打ち合って、大体の実力はわかった。
神の刀である天照の補助がなければ、私がどうにかできる相手じゃない。
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