Chapter1 〜淫呪

目が覚めるとグリムジョー思い切り抱きしめられていた。
どういう状況でこうなったのかはわからなかったけれど。
いつもは剣のある顔立ちが少し幼く見えて、笑ってしまう。
硬くセットされている髪を勝手に梳かして、頭を撫でていると、浅葱色の瞳と目があった。
「あ、起きた」
「お前…何してんだ」
「ん?ちょっと可愛かったから撫でてた」
「俺は犬か!」
何やら気に食わなかったらしく、距離をとって頭をセットし直しているグリムジョーにくすりと笑う。
「今何時だろ」
「あ?精霊邸ではまだ半刻も経ってねぇよ。こっちの時間は知らねぇが」
「そう。でもお腹空いたかな」
「…確かにな」
霊圧を消耗したからか、時間経過のせいか。
普通に空腹だった。
そういえば、此処は調理場もあったっけ。
「何か作ろっか」
「戻らねぇのか」
「うん。月詠の方もちょっと動作確認しなきゃ」
「…なら、付き合ってやるよ」
そう言いつつベッドから立ち上がるグリムジョーを見て、私も後を追って部屋を出る。
調理場はかなり大きなもので、普通の隊士達の姿も幾らか見受けられた。
調理中だというのに揃って頭を下げてくるのを見て、良いからと諫めて。
冷蔵庫を開けると、結構色々揃っていた。
「へぇ。これって誰が補充してるの?」
「あ?総隊長のジジイが持ってるって話だぜ」
「そうなんだ。お礼言っとかなきゃね…」
結構意外な事実を知りつつ、冷蔵庫から望みの材料を出してちゃちゃっと作る。
と言っても、時間を弄りつつ作る調理は、適当な賄いとは程遠い。
- 25 -
<*前><次#>
栞を挿む
泡沫U〈胡蝶蘭〉
Kuroageha
ALICE+