Chapter1 〜淫呪




「…そうする事に意味があるんやんな。その言い方やと。なんで日番谷隊長と朽木隊長だけは仮面も出せへんのに仮面出したこの子らに勝てるんやろって不思議には思っとったけど」


「うん、全く別の魂が同じ目的を持って同調する事で普通よりも力を発揮できる原理。私の天照と月詠は元々斬魄刀ではあったけど魂は別物だった。それを屈服させた時、より力が増大したのを私が感じて、やりたいって隊長さんにだけやらせた修行だね」


「へぇ。そんならボクにも修行つけてくれへん?」


「良いけど、お爺様に許可とってね。最短でもこっちで一週間はかかると思うから、半休は要るよ」


「そうか。わかったわ」


頷くギンに変わって、食事を終えたグリムジョーが口を開いた。


「…おい、玲。その理屈だと、俺らの斬魄刀にも与えられんのか、魂ってやつをよ」


「出来るよ。ただ、お勧めはしないかな。貴方達の中ではすでに斬魄刀と虚の力が共生してる。どう言う風に影響を与え合っているかは分からないけど、少なくとも、貴方達の斬魄刀に魂を与えた時、屈服させる相手は斬魄刀だけじゃなく虚の力も相手にする事になる」


「それ、どんぐらい難しいんだ?」


「…自分の卍解且つ虚化状態に、貴方は始解だけで挑むくらい」


「失敗したら?」


「斬魄刀が従わなくなる。全く別の存在になって、こちらの脅威になり得るね」


「グリムジョー。不可能だ」


「っち…わあってるよ」


今まで黙っていたスタークが、グリムジョーを嗜める。

グリムジョーもそれがどれほど無謀な戦いであるかぐらいは理解できたようだった。

私も食事を終えて、想像で取り出した紅茶を淹れてみんなに配る。

これについては彼らが不思議そうな顔をした。


「…なんで俺等が虚圏に居た時飲んでたもん知ってんだ?」


「え…?私がこれ好きだから淹れただけなんだけど…」


「…なんや思い出すなぁ」


紅茶の香りを嗅いで、ギンがふっと遠い目をする。

スタークもグリムジョーも嫌いではないらしい。

普通に飲みながら、首を傾げている。


「でもなんで好きになったんだっけ…。それは思い出せないんだよね…」


茫洋と呟くと、3人の視線がこちらを向いた。


「誰かおったっけ。こっちで現世の飲みもん好きな子」


「…そういえばウルキオラも一度飲んだって言ってた気がするな」


「そんなら日番谷隊長やないの?現世の任長かったって言うし」


「かもしれねぇな」


そんな会話を聞きつつ、冬獅郎のことを思い出す。

過去を探ろうとしたら、ずきりと頭痛がして思わず頭を抑えた。


「玲ちゃん、大丈夫?」


「うん、平気。ちょっと頭痛がしただけ」


思い出せないなら当人に直接聞けば良い。

そう思って、記憶を辿るのをやめた。


「そうだ。ギン、スターク。今から月詠の試運転するから、ちょっと付き合ってくれない?」


「なんだ、俺だけじゃ力不足ってか?」


少し苛立ったように噛みついてくるグリムジョーを宥めて、理由を話す。


「月詠は破壊に一点特化した斬魄刀。天照は優しいけど、月詠は乱暴だからね。グリムジョー一人じゃ怪我で済むかわかんないから」


そう言いつつ、まだ癒えていないグリムジョーの傷を治しきる。


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