Chapter1 〜淫呪




むくりと起き上がったグリムジョーは大層ご機嫌斜めで。
それを宥めるのにまた頭をわしゃわしゃと撫でてやる。

「あれ、君から触れるんは大丈夫なん?総隊長から君に触れるなって厳命でてたけど」

そう言えば彼らにはまだ言ってなかったか。
思い出して、六番隊で話したことと同じ言葉を並べると、ギンが不思議そうに近づいてきた。

「…ってことは今はその半日の解呪中ってことやね?」

察しのいいギンに私はなんと言い返していいのか分からずに視線を逸らした。

「相手は…グリムジョーしかいてへんか。わかってて発動させそうな馬鹿な子はその子ぐらいやし」

「………」

ギンの詰問にグリムジョーと揃って彼から目を逸らす。
なんだか母親に同衾を見られた子供みたいな構図になってる。
というか、なんで責められてるんだろう。

「玲ちゃん、ちょっとおいで」

なんとなく逆らい辛くて、ギンに近づくと普通に真正面から抱きしめられた。

「やっと君に触れられた。でもあかんよ?あんな獣に肌晒したら」

「…グリムジョー、我慢してくれたよ?」

「へぇ、意外やね。もっと理性ないもんかと思っとったのに」

抱きしめられながら耳元で囁かれる声は穏やかで。
けれど少し刺があった。

「…ギンちょっと怒ってる?」

「それぐらいはわかってくれるんやね。安心したわ」

そう告げたギンが私の体をひょいっと持ち上げる。

「ちょ…何?」

「ん?お仕置きや」

そのお仕置きという言葉に酷く甘い痺れを覚えた私はグリムジョーに視線を移す。
視線だけで大体理解してくれた彼はギンに蹴りを見舞って私を助けてくれた。

「いったぁ。何すんの。グリムジョー」

衝撃で転びそうになったギンの腕から、私は天翼を出して脱出する。

「必要以上にこいつに触んじゃねぇ。一時解呪してあっても危険なことには変わりねぇんだよ」

「…何が危険なん。解呪する時になんか知ったみたいやね?」

「此奴の色香は洒落にならねぇってことぐらいはな」

「そう。まぁええわ。スタークもそろそろ痺れ切らしてきたみたいやし、ボクは帰るわ」

何か納得したように頷いたギンは、スタークをチラリと見てそう告げた。

「あ、玲ちゃんだけやったらいつでも三番隊隊主室おいでね」

最後に余計な一言を付け加えて。
ギンとスタークは瞬歩で消えた。
再度グリムジョーと二人きりになった私は、彼に助けてくれたお礼を告げる。


- 30 -


<*前><次#>


栞を挿む












泡沫U〈胡蝶蘭〉




Kuroageha








ALICE+