恐ルルベカラズ


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「入るぞー。」

そう言って、病室へと入れば芥川は寝ている樋口の金色の髪を弄んでいた。うわああああああ芥樋ううううう!!!!一人で幸福を感じながらなるべく押し殺す。

「…平井さん」

ピタリとやめ、こちらを見る。まだ深いのか起き上がるのはキツいらしい。無理に起き上がらなくて良いと告げ近付く。すやすやと眠っている樋口。

「彼女に助けてもらったらしいじゃないか。」

_彼女の気持ちに気づいてるんだろう?

そういえば、芥川は視線を逸らした。どうやら図星らしい。何故気づいたか。それは、彼の彼女に対しての扱いだ。漫画じゃ全くわからなかったが、現実に見ていてわかる。彼は、彼女に傷ついて欲しくないのだ。

「無下にする気かい?」

厳しいかもしれないが、彼は彼女が傷つくのを恐れて彼女を逆に傷つける可能性がある。そうなってからは遅いのだ。彼が死んだら、彼女は確実に死ぬかマフィアを裏切るだろう。逆に彼女が死んだら。彼は、深い後悔に見舞われる。

「…あなたには関係ないことでしょう、」

関係ないか。私は、ため息を一つ吐いた。持ってきた無花果を置くとペシッと軽く叩いた。

「ぼさっとしてるとその内彼女がすり抜けてしまうよ?」

彼女は、不釣り合いだ。だからこそ、脆い。私は、そう告げると病室を占めある場所へと向かった。
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