ほしくず


飴の人:一期:火星[20161117]

火星である。

所用で火星近くの某コロニーにいたところ、いろいろあって呼び出され、現在に至る。

マクギリスとガエリオは任務の最中だが、サラは休暇中である。
――うむ。解せぬ。

砂埃を上げて火星の大地を車は走る。
後部座席ではサラがシートを倒し、ふてくされた気分で前に座る二人に背を向けて寝転がっていた。

うとうとと微睡んでいた頃、急ブレーキ、次いで衝撃。
案の定、彼女はシートから落ちた。シートベルトをしていなかったため、自業自得である。痛い。

床に尻餅をついて腰を手でさすっていたら、車の外ではガエリオが首を絞められていた。
びっくりである。
ちょっとだけ胸がすっとしたのは内緒だ。



ガエリオに同情した。
轢かれそうになった女の子二人とその保護者だろう人の話を聞く限り、彼が事故を起こしたわけではないらしい。
先ほどの急ブレーキは飛び出してきた女の子達を避けるためだった。

いやしかし、ガエリオには同情した。
彼が双子を轢いたと勘違いした少年に殺されそうになるとは。消えた未来での死因は窒息だろうか。
他人への情が薄く、人間味に欠けるサラでも、流石に不憫に思えた。(前世での血縁上の父親には108人も妻がいたのだ。彼女の人間性にはご理解いただきたい。)

先ほどまで苦悶の表情を浮かべ、苦しげに喘ぐガエリオであったが、今では元気に彼の首を絞めた子供に殴りかかっている。まぁ、気持ちは分からなくもない。
サラも大人げないところがあるため、彼の気持ちは理解できる。ついカッとなってやった、というやつだ。
軽くかわされたため拳は当たらなかったが。



「こんなものしかないが、お詫びに受け取ってくれるだろうか」
「あ、じゃあ私も」

はいどうぞとばかりに棒付きのキャンディーを少女達に手渡せば、チョコレートと同じく喜んでくれた。
素直な反応にガムやビスケットもあるよと両手に小山を作るくらい渡せば、さらに目がきらきらと輝いた。(ビスケットという言葉に一瞬動きが止まったようだが)
なぜそんなにも持っているかというと、頭脳労働派におやつは必需品だからだ。かわりに服のポケットや鞄の中がかさばるが。宿命である。

うん、良い仕事したわ。
オエオエ言っているどこかの潔癖症な誰かとは大違いである。



後日、少年こと三日月・オーガスにキャンディーの人(別名お菓子の人。飴以外もくれたから)と命名され、この瞬間にチョコレート&キャンディーコンビが誕生した。

まあ何にせよ、ガリガリよりはマシである。


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