ラフタの爪にマニキュアを塗る。
これはサラの好きなことの一つだ。
いつものストロベリー色もよいが、さて、今回は何にしようか。
彼女の髪であるゴールド。それとも瞳と同じグリーン。それともわたし色?
少し考え、瓶を手に取る。
ハケを使い、丁寧に、素早く塗る。
仕上げはトップコートで艶を出す。またこれは、グローブをはめ、戦場で手先を酷使する彼女の爪の保護にもなる。
選んだのはルビーレッド。
ストロベリーよりもほんの少し紅色の強いそれ。
少しだけ背伸びをした色。大人の女性へと羽化する過程にある、ラフタにぴったりの色だ。
全ての工程を終えた後、ラフタの指先はルビーレッドに染まっていた。
「やっぱサラにお願いすると良いわぁ。ありがとね」
「いえいえ、お嬢様。私が好きでやっていることですから」
「ふふっ、なーにそれ?今日は女執事の設定?」
「ええ。本日はラフタお嬢様に誠心誠意お仕えいたします」
それではおみ足を拝借、と一声かけ、ラフタの美しい筋肉のついたふくらはぎに手を掛け、自然な動作で踵までなぞる。そして、持ち上げた爪先にキスを一つ。
「手癖の悪い執事ね」
「でも、好きでしょう?」
こーいう悪いこと、と笑みを作れば、噛み付くように口を塞がれた。
ラフタの舌と絡み合う。お互いの瞳がしっとりと濡れていることは分かっている。
離れた二人の唇を繋ぐ糸が切れた後、サラは側近くにあったルビーレッドの瓶を机に置いた。