様々な出店が立ち並び客寄せの声が飛び交うなか、小さなわたしは色鮮やかな鳥がひしめきあう店の前で足を止めた。
浅葱色の羽を震わせじっとこちらを見つめる小さな鳥に心を奪われ時間など忘れてその鳥と見つめ合う。
「鳥さんはいいなぁ。なにもしなくてもご飯を貰えるし可愛がってもらえるんだもん」
「お嬢ちゃんは本当にそれが幸せだと思うのかい?」
店主と思わしき老婆の言葉に無垢なわたしは目を丸くして首を傾ける。
老婆はわたしの心情を知ってか知らずか言葉を続ける。
「この鳥たちは逃げてしまわぬよう羽を切られているんだ。二度と大空を舞うことも叶わず、この狭い鳥籠の中で一生を終えるんだよ」
老婆の唇がニタァと吊り上がる。途端に怖くなり一緒に来ていた両親を探せど二人の姿はどこにもなく、幼いわたしは目の端に涙を浮かべ始めた。
「其れは本当に幸せなのかね」
緩やかに意識を覚醒させ上体を起こし、下腹部の鈍痛に堪らず眉根を寄せながらそこを見やる。
意識を失う前に身に纏っていた衣類と異なる純白の服の裾から覗く赤の滲んだ布切れ。
急所は外した、とあの時ギルガメッシュは言っていたが傷は相当深いらしく激痛によって立ち上がることはおろか一人で体を起こすことさえ難しい。
「失礼致します。傷のお手当と包帯を取り替えに参りました」
「あ、いや……貴女も忙しいでしょう?自分でするので戻って━━」
「どうか、どうかわたくしにお任せて下さい!ディオネ様の御看病を怠っていたと帰還なされた際に王様に耳に入りでもしたら…」
彼女の顔は蒼ざめ唇まで紫色に染まっていた。私に対して異常なまでに過保護で執着しているギルガメッシュのことだ。そう聞けば躊躇なくその手で彼女を
ふぅ、と小さく息を吐き捨て首肯すれば幾分か彼女の顔色も良くなり頬に赤が差してきた。
「包帯を取り替え終えた後は何か召し上がりになりますか?」
「だいじょ……お願いしようかな」
控えめに笑い返せば彼女は忙しなく部屋を駆け出して行った。
━━長年の付き合いといえど凡人の私には彼の人の思考など推し量れなるはずもあるまい。
小さな窓口から差す細い日の光と鳥の囀りを聞きながらゆっくり瞳を閉じた。