「ギル君かな」

「私の意思を尊重してくれて何より可愛くていい子だし、2人にはない素直さがギル君にはあるよね」
「梓さんならボクを選んでくれると思ってました!ありがとうございます!!」
梓の胸元に飛び込んだ子ギルは梓に気付かれないようにとても好少年とは思えないような悪どい表情を浮かべ2人を見つめた。

「歳の差なんて関係ありません。ボクの全てを賭けて貴女を幸せにしますから」
「ギル君のそういうところ狡い……」
甘い空気を醸し出し始めた2人に表情を歪めながら青年のギルガメッシュ達は姿を消した。

「ジャックにギル君がお父さんだよ、って言ったらどんな反応するかな。ちょっと楽しみ」
「梓さんと夫婦というのは嬉しいですけどジャックが子供…ですか。正直微妙な心境ですね。ボクと梓さんの子供が見てみたかったなぁ」
「もし私とギル君の間に子供が出来ていたらギル君によく似た可愛い子だろうなと思ってるよ。金の髪に紅い瞳って素敵じゃない?」
梓の体を抱きしめる力を強めた子ギルは梓のその発言こそが卑怯だと思ってしまった。
人間と英霊サーヴァント。どれ程見目が似通っていても決定的に異なる存在であり、交わる事もまたないのだ。
彼女の言葉ひとつで出来もしない事を望んでしまうボクの頭は今、英霊にあるまじき浅はかな思考に囚われてしまっている。

「大好きです梓さん、本当に」
「私もギル君が大好きだよ。心から」

極夜